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労働安全衛生法の一部改正

○労働安全衛生法の一部を改正する法律(平成26年法律第82号)

最近における経済社会情勢の変化ならびに労働災害の動向に即応し、労働者の安全と健康の一層の確保を図るため、化学物質による労働者の危険又は健康障害を防止するための措置を強化するとともに、労働者の精神的健康の保持増進のための措置を充実する等の必要があるため、労働安全衛生法を改正することとされました。この改正は一部を除き、公布の日(平成26年6月25日)から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。


改正の内容

1 外国登録製造時等検査機関等
① 登録製造時等検査機関に対する適合命令等に係る規定は、外国にある事務所において製造時等検査の業務を行う登録製造時等検査機関(以下「外国登録製造時等検査機関」という。)について準用することとされました(第52条の3関係)。
② 厚生労働大臣は、外国登録製造時等検査機関が登録の欠格事由等に該当するに至ったとき等は、その登録を取り消すことができることとされました(第53条第2項関係)。
③ ①及び②は、登録性能検査機関、登録個別検定機関及び登録型式検定機関について準用することとされました(第53条の3、第54条及び第54条の2関係)。

2 表示義務の対象物及び通知対象物について事業者の行うべき調査等
① 事業者は、第57条第1項に規定する表示義務の対象物及び通知対象物による危険性又は有害性等を調査しなければならないこととされました(第57条の3第1項関係)。
② 事業者は、①による調査の結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するための必要な措置を講ずるように努めなければならないこととされました(第57条の3第2項関係)。
③ 厚生労働大臣は、①及び②による措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表することとし、この指針に従い、事業者等に対し、必要な指導等を行うことができることとされました(第57条の3第3項及び第4項関係)。

3 心理的な負担の程度を把握するための検査等
① 事業者は、労働者に対し、医師等による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならないこととされました(第66条の10第1項関係)。
② 事業者は、①による検査を受けた労働者に対し、当該検査を行った医師等から当該検査の結果が通知されるようにしなければならないこととされました。
この場合において、当該医師等は、あらかじめ当該検査を受けた労働者の同意を得ないで、当該労働者の検査の結果を事業者に提供してはならないこととされました(第66条の10第2項関係)。
③ 事業者は、②による通知を受けた労働者であって、心理的な負担の程度が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するものが医師による面接指導を受けることを希望する旨を申し出たときは、当該申出をした労働者に対し、医師による面接指導を行わなければならないこととされました。
この場合において、事業者は、労働者が当該申出をしたことを理由として、当該労働者に対し、不利益な取扱いをしてはならないこととされました。(第66条の10第3項関係)。
④ 事業者は、③の面接指導の結果を記録し、それに基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師の意見を聴かなければならないこととされました(第66条の10第4項及び第5項関係)。
⑤ 事業者は、④の医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更等の措置を講ずるほか、当該医師の意見の衛生委員会等への報告その他の適切な措置を講じなければならないこととされました(第66条の10第6項関係)。
⑥ 厚生労働大臣は、⑤により事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表することとし、当該指針を公表した場合において必要があると認めるときは、事業者等に対し、当該指針に関し必要な指導等を行うことができることとされました(第66条の10第7項・第8項関係)。
⑦ 国は、心理的な負担の程度が労働者の健康の保持に及ぼす影響に関する医師等に対する研修を実施するよう努めるとともに、②により通知された検査の結果を利用する労働者に対する健康相談の実施その他の当該労働者の健康の保持増進を図ることを促進するための措置を講ずるよう努めることとされました(第66条の10第9項関係)。
⑧ ①の検査又は③の面接指導の実施の事務に従事した者は、その実施に関して知り得た労働者の秘密を漏らしてはならないこととされました(第104条関係)。
⑨ 産業医を選任しなければならない事業場以外の事業場についての①から⑦までの適用については、当分の間、①のうち「行わなければ」とあるのは「行うよう努めなければ」とすることとされました(附則第4条関係)。

〔解説〕⑨は、心理的な負担の程度を把握するための検査等(いわゆるストレスチェック制度)について、本来は、義務であるところ、当分の間、従業員数50人未満の事業場については、努力義務とするものです。

 

  4 受動喫煙の防止
① 事業者は、労働者の受動喫煙を防止するため、当該事業者及び事業場の実情に応じ適切な措置を講ずるよう努めることとされました(第68条の2関係)。
② 国は、労働者の健康の保持増進に関する措置の適切かつ有効な実施を図るため、受動喫煙の防止のための設備の設置の促進その他の必要な援助に努めることとされました(第71条第1項関係)。

5 事業場の安全又は衛生に関する改善措置等
① 厚生労働大臣は、重大な労働災害として厚生労働省令で定めるもの(以下「重大な労働災害」という。)が発生した場合において、重大な労働災害の再発を防止するため必要がある場合として厚生労働省令で定める場合に該当すると認めるときは、事業者に対し、その事業場の安全又は衛生に関する改善計画(以下「改善計画」という。)を作成し、これを厚生労働大臣に提出すべきことを指示することができることとされました(第78条第1項関係)。
② 事業者は、改善計画を作成しようとする場合には、労働者の過半数で組織する労働組合等の意見を聴かなければならないこととされました(第78条第2項関係)。
③ ①の事業者及びその労働者は、改善計画を守らなければならないこととされました(第78条第3項関係)。
④ 厚生労働大臣は、改善計画が重大な労働災害の再発の防止を図る上で適切でないと認めるときは、事業者に対し、当該改善計画を変更すべきことを指示することができることとされました(第78条第4項関係)。
⑤ 厚生労働大臣は、①又は④に規定する指示を受けた事業者がその指示に従わなかった場合等において、重大な労働災害が再発するおそれがあると認めるときは、当該事業者に対し、重大な労働災害の再発の防止に関し必要な措置をとるべきことを勧告することができることとされました(第78条第5項関係)。
⑥ 厚生労働大臣は、⑤の勧告を受けた事業者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができることとされました(第78条第6項関係)。

6 計画の届出の廃止  
第88条第一項の規定による建設物又は機械等の設置等の計画の届出義務を廃止することとされました(第88条第1項関係)。

7 電動ファン付き呼吸用保護具
① 電動ファン付き呼吸用保護具を、その譲渡等に際して厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければならないもの及びその製造等に際して厚生労働大臣の登録を受けた者が行う型式検定を受けなければならないものに追加することとされました(別表第2第16号及び別表第4第13号関係)。
② 電動ファン付き呼吸用保護具に係る型式検定を行おうとして①の登録の申請をした者(以下「登録申請者」という。)について、厚生労働大臣が必ず登録をしなければならないものとされるための要件の一つとして、登録申請者が別表第14に掲げる設備を用いて型式検定を行うものであることを規定することとされました(別表第14関係)。

8 検討規定  
政府は、この法律の施行後5年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとされました(附則第7条関係)。

この法律は、公布の日(平成26年6月25日。以下同じ。)から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。
ただし、次の改正規定は、それぞれ、次に定める日から施行されます。
・6及び7の改正規定 ・・・公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日
・3の改正規定 ・・・公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日
・2の改正規定 ・・・公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日