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働き方改革関連法による労働基準法等の一部改正

 時間外労働の上限規制、同一労働同一賃金の実現に向けた法整備などを盛り込んだ「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(いわゆる働き方改革関連法)」が成立しました。〔平成31年4月1日(一部は、公布の日 、平成32年4月1日、平成35年4月1日)施行〕
 時間外労働の上限規制などの主要な改正規定は、平成31(2019)年4月から順次施行されますので、各企業におかれましては、施行期日までに、必要な対応に迫られることになります。
 概要は以下の通りです。

※この改正について、厚生労働省から、概要が公表されていますので、ご確認ください。
<働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の概要>
https://www.mhlw.go.jp/content/000308289.pdf

○働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号)

1 労働基準法の一部改正関係

1 フレックスタイム制に関する事項
フレックスタイム制の清算期間の上限を3箇月とすることとされました(第32条の3第1項関係)。

2 時間外労働の上限規制に関する事項
(1) 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間又は第35条の休日に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができることとされました(第36条第1項関係)。

(2) (1)の協定においては、次に掲げる事項を定めることとされました(第36条第2項関係)。
① (1)により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができることとされる労働者の範囲
② 対象期間((1)により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる期間をいい、1年間に限るものとする。以下同じ。)
③ 労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる場合
④ 対象期間における1日、1箇月及び1年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数
⑤ 労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするために必要な事項として厚生労働省令で定める事項

(3) (2)の④の労働時間を延長して労働させることができる時間は、当該事業場の業務量、時間外労働の動向その他の事情を考慮して通常予見される時間外労働の範囲内において、限度時間を超えない時間に限ることとされました(第36条第3項関係)。

(4) (3)の限度時間は、1箇月について45時間及び1年について360時間(1年単位の変形労働時間制の対象期間として3箇月を超える期間を定めて労働させる場合にあっては、1箇月について42時間及び1年について320時間)とすることとされました(第36条第4項関係)。

(5) (1)の協定においては、(2)の①から⑤までに掲げるもののほか、当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に(3)の限度時間を超えて労働させる必要がある場合において、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間((2)の④に関して協定した時間を含め100時間未満の範囲内に限る。)並びに1年について労働時間を延長して労働させることができる時間((2)の④に関して協定した時間を含め720時間を超えない範囲内に限る。)を定めることができることとされました。この場合において、(1)の協定に、併せて対象期間において労働時間を延長して労働させる時間が1箇月について45時間(1年単位の変形労働時間制の対象期間として3箇月を超える期間を定めて労働させる場合にあっては、1箇月について42時間)を超えることができる月数(1年について6箇月以内に限る。)を定めなければならないこととされました(第36条第5項関係)。

(6) 使用者は、(1)の協定で定めるところによって労働時間を延長して労働させ、又は休日において労働させる場合であっても、次に掲げる時間について、それぞれ後段に定める要件を満たすものとしなければならないこととされました(第 36条第6項関係)。
① 坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務について、1日について労働時間を延長して労働させた時間・・・2時間を超えないこと。
② 1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間・・・100時間未満であること。
③ 対象期間の初日から1箇月ごとに区分した各期間に当該各期間の直前の1箇月、2箇月、3箇月、4箇月及び5箇月の期間を加えたそれぞれの期間における労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の1箇月当たりの平均時間・・・80時間を超えないこと。

(7) 厚生労働大臣は、労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするため、(1)の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項について、労働者の健康、福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して指針を定めることができることとされました(第36条第7項関係)。

(8) (1)の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者は、当該協定で労働時間の延長及び休日の労働を定めるに当たり、当該協定の内容が(7)の指針に適合したものとなるようにしなければならないこととされました(第36条第8項関係)。

(9) 行政官庁は、(7)の指針に関し、(1)の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができることとされました(第36条第9項関係)。

(10) (9)の助言及び指導を行うに当たっては、労働者の健康が確保されるよう特に配慮しなければならないこととされました(第36条第10項関係)。

(11) (3)から(5)まで及び(6)(②及び③に係る部分に限る。)は、新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務については適用しないこととされました(第36条第11項関係)。

(12) 工作物の建設の事業等の一部の事業等について、(3)から(5)まで及び(6)(②及び③に係る部分に限る。)を適用しないこと等の必要な経過措置を設けることとされました(附則第139条~第142条関係)。

3 年次有給休暇に関する事項
使用者は、年次有給休暇の日数が10日以上の労働者に対し、年次有給休暇のうち5日については、基準日から1年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならないこととされました(第39条第7項関係)。

4 特定高度専門業務・成果型労働制に関する事項
賃金、労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とする委員会(使用者及び当該事業場の労働者を代表する者を構成員とするものに限る。)が設置された事業場において、当該委員会が委員の5分の4以上の多数による議決により(1)から(10)までに掲げる事項に関する決議をし、かつ、使用者が、当該決議を行政官庁に届け出た場合において、(2)に掲げる労働者の範囲に属する労働者(以下「対象労働者」という。)であって書面その他の厚生労働省令で定める方法によりその同意を得たものを当該事業場における(1)に掲げる業務に就かせたときは、労働基準法第四章で定める労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定は、対象労働者については適用しないこととされました。
ただし、(3)から(5)までの措置を使用者が講じていない場合は、この限りでないこととされました(第41条の2第1項関係)。
(1) 高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務のうち、労働者に就かせることとする業務(以下「対象業務」という。)

(2) 特定高度専門業務・成果型労働制の下で労働する期間において次のいずれにも該当する労働者であって、対象業務に就かせようとするものの範囲
① 使用者との間の書面その他の厚生労働省令で定める方法による合意に基づき職務が明確に定められていること。
② 労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金の額を1年間当たりの賃金の額に換算した額が基準年間平均給与額(厚生労働省において作成する毎月勤労統計における毎月きまって支給する給与の額を基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定した労働者1人当たりの給与の平均額をいう。)の3倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額以上であること。

(3) 対象業務に従事する対象労働者の健康管理を行うために当該対象労働者が事業場内にいた時間(4の委員会が厚生労働省令で定める労働時間以外の時間を除くことを決議したときは、当該決議に係る時間を除いた時間)と事業場外において労働した時間との合計の時間(以下「健康管理時間」という。)を把握する措置(厚生労働省令で定める方法に限る。)を当該決議で定めるところにより使用者が講ずること。

(4) 対象業務に従事する対象労働者に対し、1年間を通じ104日以上、かつ、4週間を通じ4日以上の休日を4の決議及び就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより使用者が与えること。

(5) 対象業務に従事する対象労働者に対し、次のいずれかに該当する措置を4の決議及び就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより使用者が講ずること。
① 労働者ごとに始業から24時間を経過するまでに厚生労働省令で定める時間以上の継続した休息時間を確保し、かつ、深夜業の回数を1箇月について厚生労働省令で定める回数以内とすること。
② 健康管理時間を1箇月又は3箇月についてそれぞれ厚生労働省令で定める時間を超えない範囲内とすること。
③ 1年に1回以上の継続した2週間(労働者が請求した場合においては、1年に2回以上の継続した1週間)(使用者が当該期間において、年次有給休暇を与えたときは、その与えた日を除く。)について、休日を与えること。
④ 健康管理時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する労働者に健康診断(厚生労働省令で定める項目を含むものに限る。)を実施すること。

(6) 対象業務に従事する対象労働者の健康管理時間の状況に応じた当該対象労働者の健康及び福祉を確保するための措置であって、当該対象労働者に対する有給休暇(年次有給休暇を除く。)の付与、健康診断の実施その他の厚生労働省令で定める措置のうち4の決議で定めるものを使用者が講ずること。

(7) 対象労働者の同意の撤回に関する手続

(8) 対象業務に従事する対象労働者からの苦情の処理に関する措置を4の決議で定めるところにより使用者が講ずること。

(9) 使用者は、同意をしなかった対象労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと。

(10) (1)から(9)までに掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項

5 罰則に関する事項
所要の罰則を設けることとされました(第119条及び第120条関係)。

6 中小事業主に対する1箇月について60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率の適用に関する事項
中小事業主に対する1箇月について60時間を超える時間外労働に対する通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金の支払義務の適用猶予に係る規定を廃止することとされました(第138条関係)。

2 雇用対策法の一部改正関係

1 題名に関する事項
法律の題名を「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」に改めることとされました。

2 基本方針に関する事項
国は、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするために必要な労働に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならないこととされました(第10条第1項関係)。

3 関係行政機関への要請に関する事項
厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、基本方針において定められた施策で、関係行政機関の所管に係るものの実施について、必要な要請をすることができることとされました(第10条の2関係)。

4 中小企業における取組の推進のための関係者間の連携体制の整備に関する事項
国は、労働時間の短縮その他の労働条件の改善、多様な就業形態の普及、雇用形態又は就業形態の異なる労働者の間の均衡のとれた待遇の確保その他の基本方針において定められた施策の実施に関し、中小企業における取組が円滑に進むよう、地方公共団体、中小企業者を構成員とする団体その他の事業主団体、労働者団体その他の関係者により構成される協議会の設置その他のこれらの者の間の連携体制の整備に必要な施策を講ずるように努めることとされました(第10条の3関係)。

3 労働安全衛生法の一部改正関係

1 産業医・産業保健機能の強化に関する事項
(1) 産業医を選任した事業者は、産業医に対し、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の労働時間に関する情報その他の産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報として厚生労働省令で定めるものを提供しなければならないこととされました(第13条第4項関係)。

(2) 事業者は、産業医の勧告を受けたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該勧告の内容その他の厚生労働省令で定める事項を衛生委員会又は安全衛生委員会に報告しなければならないこととされました(第13条第6項関係)。

2 面接指導等に関する事項
(1) 事業者は、その労働時間が厚生労働省令で定める時間を超える労働者(新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務に従事する者に限る。)に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならないこととされました(第66条の8の2第1項関係)。

(2) 事業者は、第66条の8第1項又は㈠の面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者の労働時間の状況を把握しなければならないこととされました(第66条の8の3関係)。

(3) 事業者は、特定高度専門業務・成果型労働制の対象労働者であって、その健康管理時間が厚生労働省令で定める時間を超えるものに対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならないこととされました(第66条の8の4第1項関係)。

3 罰則に関する事項
所要の罰則を設けることとされました(第120条関係)。

4 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の一部改正関係

1 不合理な待遇の禁止等に関する事項
(1) 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する派遣先に雇用される通常の労働者の待遇との間において、当該派遣労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならないこととされました(第30条の3第1項関係)。

(2 )派遣元事業主は、職務の内容が派遣先に雇用される通常の労働者と同一の派遣労働者であって、当該労働者派遣契約及び当該派遣先における慣行その他の事情からみて、当該派遣先における派遣就業が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該派遣先との雇用関係が終了するまでの全期間における当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるものについては、正当な理由がなく、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する当該通常の労働者の待遇に比して不利なものとしてはならないこととされました(第30条の3第2項関係)。

(3) 派遣元事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、その雇用する派遣労働者の待遇(第40条第2項の教育訓練、同条第3項の福利厚生施設その他の厚生労働省令で定めるものに係るものを除く。(3)において同じ。)について、次に掲げる事項を定めたときは、(1)及び(2)は、①に掲げる範囲に属する派遣労働者の待遇については適用しないこととされた。ただし、②、④若しくは⑤に掲げる事項であって当該協定で定めたものを遵守していない場合又は③に関する当該協定の定めによる公正な評価に取り組んでいない場合は、この限りでないこととされました(第30条の4第1項関係)。
① その待遇が当該協定で定めるところによることとされる派遣労働者の範囲
② ①に掲げる範囲に属する派遣労働者の賃金の決定の方法(イ及びロ(通勤手当その他の厚生労働省令で定めるものにあっては、イ)に該当するものに限る。)
イ 派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額として厚生労働省令で定めるものと同等以上の賃金の額となるものであること。
ロ 派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項の向上があった場合に賃金が改善されるものであること。
③ 派遣元事業主は、②に掲げる賃金の決定の方法により賃金を決定するに当たっては、派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を公正に評価し、その賃金を決定すること。
④ ①に掲げる範囲に属する派遣労働者の待遇(賃金を除く。④において同じ。)の決定の方法(派遣労働者の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する派遣元事業主に雇用される通常の労働者(派遣労働者を除く。)の待遇との間において、当該派遣労働者及び通常の労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違が生じることとならないものに限る。)
⑤ 派遣元事業主は、①に掲げる範囲に属する派遣労働者に対して第30条の2第1項の規定による教育訓練を実施すること。
⑥ ①から⑤までに掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項

2 待遇に関する事項等の説明に関する事項
(1) 派遣元事業主は、労働者を派遣労働者として雇い入れようとするときは、あらかじめ、当該労働者に対し、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法((2)において「文書の交付等」という。)により、①に掲げる事項を明示するとともに、厚生労働省令で定めるところにより、②に掲げる措置の内容を説明しなければならないこととされました。(第31条の2第2項関係)。
① 労働条件に関する事項のうち、労働基準法第15条第1項に規定する厚生労働省令で定める事項以外のものであって厚生労働省令で定めるもの
② 1及び第30条の5の規定により措置を講ずべきこととされている事項(労働基準法第15条第1項に規定する厚生労働省令で定める事項及び①に掲げる事項を除く。)に関し講ずることとしている措置の内容

(2) 派遣元事業主は、労働者派遣(1の(3)の協定に係るものを除く。)をしようとするときは、あらかじめ、当該労働者派遣に係る派遣労働者に対し、文書の交付等により、①に掲げる事項を明示するとともに、厚生労働省令で定めるところにより、②に掲げる措置の内容を説明しなければならないこととされました(第31条の2第3項関係)。
① 労働基準法第15条第1項に規定する厚生労働省令で定める事項及び(1)の①に掲げる事項(厚生労働省令で定めるものを除く。)
② (1)の②に掲げる措置の内容

(3) 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者から求めがあったときは、当該派遣労働者に対し、当該派遣労働者と比較対象労働者との間の待遇の相違の内容及び理由並びに1並びに第30条の4第2項、第30条の5及び第30条の6の規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項を説明しなければならないこととされました(第31条の2第4項関係)。

(4) 派遣元事業主は、派遣労働者が⑶の求めをしたことを理由として、当該派遣労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこととされました(第31条の2第5項関係)。

3 紛争の解決に関する事項
(1) 1及び2並びに第30条の4第2項についての派遣労働者と派遣元事業主との間の紛争並びに第40条第2項及び第3項についての派遣労働者と派遣先との間の紛争については、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条、第5条及び第12条から第19条までの規定は適用せず、(2)及び(3)並びに第47条の8及び第47条の9に定めるところによることとされました(第47条の5関係)。

(2) 都道府県労働局長は、(1)の紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができることとされました(第47条の6関係)。

(3) 都道府県労働局長は、(1)の紛争について、当該紛争の当事者の双方又は一方から調停の申請があった場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第六条第一項の紛争調整委員会に調停を行わせることとされました(第47条の7関係)。

5 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の一部改正関係

1 「労働時間等の設定」の定義に関する事項
「労働時間等の設定」の定義に、深夜業の回数及び終業から始業までの時間を追加することとされました(第1条の2第2項関係)。

2 事業主等の責務に関する事項
(1) 事業主の責務として、労働者の健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定を講ずるように努めなければならないことを追加することとされました(第2条第1項関係)。
(2) 事業主の責務として、他の事業主との取引を行う場合において、著しく短い期限の設定及び発注の内容の頻繁な変更を行わないこと等取引上必要な配慮をするように努めなければならないことを追加することとされました(第2条第4項関係)。

6 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部改正関係

1 題名に関する事項
題名を「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」に改めることとされました。

2 定義に関する事項
(1) 「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者(当該事業主に雇用される通常の労働者と同種の業務に従事する当該事業主に雇用される労働者にあっては、厚生労働省令で定める場合を除き、当該労働者と同種の業務に従事する当該通常の労働者)の1週間の所定労働時間に比し短い労働者をいうこととされました(第2条第1項関係)。
(2) 「有期雇用労働者」とは、事業主と期間の定めのある労働契約を締結している労働者をいうこととされました(第2条第2項関係)。
(3) 「短時間・有期雇用労働者」とは、短時間労働者及び有期雇用労働者をいうこととされました(第2条第3項関係)。

3 不合理な待遇の禁止に関する事項
事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならないこととされました(第8条関係)。

4 通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止に関する事項
事業主は、職務の内容が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるものについては、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはならないこととされました(第9条関係)。

5 事業主が講ずる措置の内容等の説明に関する事項
(1) 事業主は、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたときは、速やかに、3及び4並びに第10条から第13条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項(労働基準法第15条第1項に規定する厚生労働省令で定める事項及び労働条件に関する事項のうち当該厚生労働省令で定める事項以外のものであって厚生労働省令で定めるものを除く。)に関し講ずることとしている措置の内容について、当該短時間・有期雇用労働者に説明しなければならないこととされました(第14条第1項関係)。

(2) 事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者から求めがあったときは、当該短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由並びに3及び4並びに第6条、第7条及び第10条から第13条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項について、当該短時間・有期雇用労働者に説明しなければならないこととされました(第14条第2項関係)。

(3) 事業主は、短時間・有期雇用労働者が⑵の求めをしたことを理由として、当該短時間・有期雇用労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこととされました(第14条第3項関係)。

6 指針に関する事項
事業主が講ずべき雇用管理の改善等に関する措置等の適切かつ有効な実施を図るための指針の対象に、3から5までによる措置並びに第6条、第7条及び第10条から第13条までに定める措置を追加することとされました(第15条第1項関係)。

7 紛争の解決に関する事項
この法律に規定する紛争の解決に関する規定の対象に、3についての苦情及び紛争を追加することとされました(第22条~第26条関係)。

8 3から5までのもののほか、この法律の規定の対象に有期雇用労働者を追加することとされました。

7 労働契約法の一部改正関係

期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止に関する規定を削除することとされました(第20条関係)。

8 その他

所要の規定の整備を行うこととされました。

9 施行期日等

1 施行期日(法附則1条関係)
この法律は、平成31年4月1日から施行することとされました。
ただし、次に掲げる事項は、それぞれ次に定める日から施行することとされました。
・2 …………………… 公布の日
・4、6及び7 ……… 平成32年4月1日
・1の6 ……………… 平成35年4月1日

2 経過措置等(附則第2条~第11条及び第13条~第30条関係)
(1) 中小事業主(その資本金の額又は出資の総額が3億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については5,000万円、卸売業を主たる事業とする事業主については1億円)以下である事業主及びその常時使用する労働者の数が300人(小売業を主たる事業とする事業主については50人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人)以下である事業主をいう。㈣及び㈤において同じ。)の事業に係る協定について、1による改正後の労働基準法第36条の規定は、平成32年4月1日から適用することとされました。

(2) (1)の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者は、当該協定をするに当たり、1による改正後の労働基準法第36条第1項から第5項までの規定により当該協定に定める労働時間を延長して労働させ、又は休日において労働させることができる時間数を勘案して協定をするように努めなければならないこととされました。

(3) 政府は、(2)の者に対し、(2)の協定に関して、必要な情報の提供、助言その他の支援を行うこととされました。

(4) 行政官庁は、当分の間、中小事業主に対し1の2の(9)の助言及び指導を行うに当たっては、中小企業における労働時間の動向、人材の確保の状況、取引の実態その他の事情を踏まえて行うよう配慮することとされました。

(5) 中小事業主については、平成33年3月31日までの間、6による改正後の短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律第2条第1項、第3条、第3章第1節(第15条及び第18条第3項を除く。)及び第4章(第26条及び第27条を除く。)の規定は、適用しないこととされた。この場合において、6による改正前の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律第2条、第3条、第3章第1節(第15条及び第18条第3項を除く。)及び第4章(第26条及び第27条を除く。)の規定並びに7による改正前の労働契約法第20条の規定は、なおその効力を有することとされました。

(6) (1)から(5)までのほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置を定めるとともに、関係法律について所要の規定の整備を行うこととされました。
政府は、この法律の施行後5年を目途として、改正後の各法律の規定について、労働者と使用者の協議の促進等を通じて、仕事と生活の調和、労働条件の改善、雇用形態又は就業形態の異なる労働者の間の均衡のとれた待遇の確保その他の労働者の職業生活の充実を図る観点から、その施行の状況等を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとされた(附則第12条第3項関係)。

〔確認〕改正の全体像
◇ 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の概要 ◇
労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等のための措置を講ずる。

Ⅰ 働き方改革の総合的かつ継続的な推進  
働き方改革に係る基本的考え方を明らかにするとともに、国は、改革を総合的かつ継続的に推進するための「基本方針」(閣議決定)を定めることとする。(雇用対策法)
〈補足〉(衆議院において修正)中小企業の取組を推進するため、地方の関係者により構成される協議会の設置等の連携体制を整備する努力義務規定を創設。

Ⅱ 長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等  
1 労働時間に関する制度の見直し(労働基準法、労働安全衛生法)
・時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定。
(注)自動車運転業務、建設事業、医師等について、猶予期間を設けた上で規制を適用等の例外あり。研究開発業務について、医師の面接指導を設けた上で、適用除外。
・月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)について、中小企業への猶予措置を廃止する。
・フレックスタイム制の清算期間の上限を「1か月」から「3か月」に延長する。
・使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないこととする。
・高度プロフェッショナル制度の創設等を行う。(高度プロフェッショナル制度における健康確保措置を強化)
〈補足〉(衆議院において修正)高度プロフェッショナル制度の適用に係る同意の撤回について規定を創設。
・労働者の健康確保措置の実効性を確保する観点から、労働時間の状況を省令で定める方法により把握しなければならないこととする。(労働安全衛生法)

2 勤務間インターバル制度の普及促進等(労働時間等設定改善法)
・事業主は、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保に努めなければならないこととする。
〈補足〉(衆議院において修正)事業主の責務として、短納期発注や発注の内容の頻繁な変更を行わないよう配慮する努力義務規定を創設。

3 産業医・産業保健機能の強化(労働安全衛生法等)
・事業者から、産業医に対しその業務を適切に行うために必要な情報を提供することとするなど、産業医・産業保健機能の強化を図る。

Ⅲ 雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保  
1 不合理な待遇差を解消するための規定の整備(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法)
・短時間・有期雇用労働者に関する同一企業内における正規雇用労働者との不合理な待遇の禁止に関し、個々の待遇ごとに、当該待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨を明確化。併せて有期雇用労働者の均等待遇規定を整備。
・派遣労働者について、①派遣先の労働者との均等・均衡待遇、②一定の要件(※)を満たす労使協定による待遇のいずれかを確保することを義務化。
また、これらの事項に関するガイドラインの根拠規定を整備。
(※)同種業務の一般の労働者の平均的な賃金と同等以上の賃金であること等

2 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法)
・短時間労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について、正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等に関する説明を義務化。

3 行政による履行確保措置及び裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備
・1の義務や2の説明義務について、行政による履行確保措置及び行政ADRを整備。

施行期日
Ⅰ=公布日
Ⅱ=平成31年4月1日(中小企業における時間外労働の上限規制に係る改正規定の適用は平成32年4月1日、1の中小企業における割増賃金率の見直しは平成35年4月1日)
Ⅲ=平成32年4月1日(中小企業におけるパートタイム労働法・労働契約法の改正規定の適用は平成33年4月1日)
〈補足〉(衆議院において修正)改正後の各法の検討を行う際の観点として、労働者と使用者の協議の促進等を通じて、労働者の職業生活の充実を図ることを明記。