Withコロナ/Afterコロナの採用・評価・労務管理
<社会保険労務士たきもと事務所 瀧本 旭/PSR会員>
新型コロナウイルス感染症拡大は労働環境にも大きく影響を与えている。テレワークの急激な普及、また、それに見合った人事評価制度への変更だけでなく、採用方法(従来の新卒一括採用といった慣行など)にも影響を及ぼすことになりそうだ。コロナ禍における労務管理の今後について考察してみたい。
◆日本型の雇用慣行とは
日本の雇用慣行として、改めて簡単に紹介すると主に下記の3点があげられる。
新卒一括採用
新卒学生を一斉に採用すること
終身雇用
原則、定年年齢まで雇用される
年功序列型賃金制度
年齢と賃金が比例する制度
新卒学生を一斉に採用・教育することで企業へのロイヤリティーを高めつつ、終身雇用を前提とした年功序列型賃金制度や退職金制度を設ける。特に中堅~大企業ではこのような慣行がまだ主流ではないだろうか。
◆テレワーク普及がもたらすもの
新型コロナウイルス感染症拡大により、これまではテレワークに否定的であった企業にも、急激に普及している。これにより「労働時間」を主としたこれまでの賃金・評価制度では、正確な評価は難しいだろう。今後はより成果を求められる働き方になるのは想像に難くない。
◆採用の変化
採用についても変化がありそうだ。今回の新型コロナウイルス感染症拡大により、新卒・中途採用を抑制する動きが広がっている。一方、影響が少ない企業では、この状況をチャンスととらえ、積極的な採用に動いている。その場合、よりスペシャリストを求める傾向になるのではないか。
また、採用方法に関してもSNSを有効に利用したり、ユニークな採用活動をしたりしている企業もあり、これまでの採用方法では見向きもされなくなる日がくることも考えられる。
◆おわりに
新型コロナウイルス感染症拡大により、テレワークの普及など、働き方が大きく変わりつつある。実態として、そのような変化の中でデメリットも出てきているだろう。しかしながら、昨今の「働き方改革」と相まって、さまざまな変化は望むと望まざるとにかかわらず、続くだろう。
人事担当は、変化を恐れることなく、臨機応変に対応していかなければ採用もままならないし、企業の存続もおぼつかないだろう。
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