前回のコラムで、リスキリングとともに良く出てくるワードの「DX」について解説しました。
企業のDX推進、DX変革の実現には、「DX人材の育成」が必須です。2022年には経済産業省によるデジタル人材育成プラットフォーム「マナビDX」の開設や人材育成に携わる新たなサービスがリリースされるなど、業種や企業規模を問わず、DX人材育成への取り組みが加速しています。
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そこで第5回目では、「DX人材」の育成について、簡単にご説明いたします。
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過去記事はこちら
第1回「最近ニュースでよく目にするワードの「人的資本経営」って?」
第4回 リスキリングとともによく出てくるワードの「DX」とは?
「DX人材」の育成について
2018年9月に公表された『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』の3.5「DX人材の育成・確保」の項目の箇所で、
デジタル技術の進展の中で、DXを実行することのできる人材の育成と確保は各社にとって最重要事項である。ユーザ企業、ベンダー企業それぞれにおいて、求められる人材スキルを整理し、必要な対応策を講じていくことが必要である。
と記載されています。
(注)
ユーザ企業:開発会社にシステム開発を委託する側の企業のこと
ベンダー企業:製品やサービスを提供する企業のこと
人材確保・育成に向けた対応策としては、次の3点が挙げられています(要約してご紹介します)。
①アジャイル開発の実践そのもの
→ユーザ企業の人材にあっては開発手法を学び、ベンダー企業の人材にあっては開発に従事しながら業務を知ることにつながり、ユーザ企業・ベンダー企業双方の人材育成にもなる。
(注)アジャイル開発:システムやソフトウェア開発において現在、主流になっている開発手法となり、「計画→設計→実装→テスト」といった開発工程を機能単位の小さいサイクルで繰り返すのが特徴
②IT技術者のスキル標準や情報処理技術者試験の活用により、IT人材のスキルの明確化や、学び直しによる人材育成が進められることが期待される
→情報処理技術者試験における「ITストラテジスト」は企業の経営戦略に基づいてビジネス・モデル等を情報技術の活用により改革・高度化・最適化するための基本戦略を策定・提案・推進する者とされている。
③大学を含めた産学連携で人材育成を進めることも有効
→企業にとっては、自社のプロジェクトを大学とともに取り組むことにより、AIやデータ活用のスキルを実践的に獲得できるとともに、大学にとっても企業の持つデータを活用できるため、研究ならびに教育の良い教材となる。
第3回目の記事で「リスキリング」で対象となる助成金・給付金についてご説明しましたが、例えば、上述の②で出てくる「ITストラテジスト」資格は、教育訓練給付の「専門実践教育訓練(※)」に該当します。教育訓練給付を活用することで受講費用が最大7割(年間上限56万円)支給されますので、実質3割の負担でITストラテジストの講座を受講することができます。
(※)「専門実践教育訓練」に該当するデジタル関係の資格、スキル
・第四次産業革命スキル習得講座(クラウド、IoT、AI、データサイエンス、ネットワーク、セキュリティ、IT利活用分野など)
・ITSSレベル3以上のIT関連資格取得講座(応用情報技術者、ITストラテジスト、システムアーキテクトなど)
<参考>厚生労働省「教育訓練給付制度」
なお、上記のような専門性の高いスキルを学べる講座は、受講費用が高額なため、講座を受講する際には教育訓練給付を活用されることをおすすめします。