<社会保険労務士法人出口事務所/社会保険労務士 出口裕美/PSR会員>
2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)は、2020年以降を「行動の10年」として、SDGs達成に向けた取組みの加速を求めています。すでにSDGsに関連する多様な取組みが進められている企業も、さらなる目標達成に向けて行動されているのではないでしょうか。
今回は「SDGs(持続可能な開発目標)」についてご紹介したいと思います。
SDGs(持続可能な開発目標)とは
持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものです。
数年前は、大企業でさまざまなSDGsに取り組んでいたものの、一般的にはまだ認知度が低く、取組事例も限られていたように思いますが、現在では、中小企業もSDGsについて約9割が認知してきているようです。※
※参照
独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のSDGs 推進に関する実態調査」(2022年3月)
https://www.smrj.go.jp/research_case/research/questionnaire/index.html
外務省 「SDGsとは?」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html
SDGsを経営に取り入れる意義や目的とは
最近では、企業のホームページはもちろん、TVコマーシャル等でも「持続可能」を意識したものが増えているように感じています。
一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)では、2018年に会員企業が取り組んでいるSDGsの事例集を公開しましたが、企業の取組みに進展がみられることから、2022年に最新の取組事例の更新版を公開しました。多くの企業が企業の取り組みを公開することで、他の企業にも広がっていくと思います。
また、独立行政法人中小企業基盤整備機構は、「中小企業のSDGs 推進に関する実態調査」の結果を公表しました。
SDGsの認知度については「よく知っている」「ある程度知っている」「聞いたことはある」を含め約9割が何らかのかたちで認知していると回答しました。
一方、SDGsの内容を「十分に理解している」「やや理解している」とする企業は約4割でした。SDGsの理解度と取り組み状況の関係を見ると、「十分理解している」「やや理解している」と回答した企業のうち「すでに取り組んでいる」「今後は取り組んでいく予定」は58.4%、「あまり理解していない」「理解していない」と回答した企業では、今後の取り組みについて「未定」「予定はない」の回答が93.5%でした。SDGsを経営に取り入れる意義や目的は「企業の社会的責任」が50.4%と最も高く、「企業イメージの向上」(29.7%)、「従業員のモチベーションの向上」(27.6%)が続きました。
※参照
一般社団法人日本経済団体連合会 「Keidanren SDGs」
https://www.keidanrensdgs.com/home
独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のSDGs 推進に関する実態調査」(2022年3月)
https://www.smrj.go.jp/research_case/research/questionnaire/index.html
これからの企業のSDGs
SDGsを具体的に、そして、親しみやすく、わかりやすく示している小学生や中学生向けの番組に「リフォーマーズの杖」があります。※
現在の子供達は多くの情報を得て、成長していきます。子供達は、SDGsのために自分たちができることを選択していきます。そうするとSDGsを意識していない企業の商品よりも意識している企業の商品を購入していくのではないでしょうか。就職活動をしている学生に向けてはもちろんのこと、今の小学生や中学生に向けても企業は情報を発信する必要があるのではないでしょうか。
中小企業の SDGs の取組状況はまだまだ低水準であり、取組みの拡大を図るためには SDGs への理解をより深めていく努力が必要となってきます。
SDGs に取り組む意義や目的は、現状企業責任や社会貢献を果たすことが強く意識されていますので、取り組み拡大には、SDGs が社会貢献とともに、永続的な企業活動(メリット)も展開できるというビジネスモデルを具体的に提示することが重要となります。そのためには、SDGs の取組事例の公表などは有効な手段となるのではないでしょうか。
規模の小さな中小企業や小規模企業であっても、企業として社会的責任を果たしつつ、利益もあげることが可能であるというビジネスモデルを発掘し、具体的に提示することで、SDGsを経営に取り入れる目的や意義、メリットを理解してもらうような支援が取組み拡大のためには必要と思われます。
筆者の事務所でも顧問先企業に向けたセミナーを開催し、職員達にはもちろん、ホームページでも取り組み事例を公開いたしました。筆者の小学生の娘もリフォーマーズの杖を見てからは、買い物をする際にも日々の生活でも行動が変わりました。
ぜひ、みなさまの企業も、まずは取組事例を参考にSDGsを取り組み、発信していただければと思います。
※参照
NHK for School 「リフォーマーズの杖」
https://www.nhk.or.jp/school/sonota/reformers/
独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のSDGs 推進に関する実態調査」(2022年3月)
https://www.smrj.go.jp/research_case/research/questionnaire/index.html
プロフィール
社会保険労務士法人出口事務所 代表社員
(https://www.deguchi-office.com/)
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