今年のゴールデンウィークは10連休!!給与の支払いはどうなる!?
株式会社ブレインコンサルティングオフィス 奥田章博
間もなく、現在の天皇陛下が2019年4月30日に退位され、平成が終わります。
そして、皇太子殿下が翌5月1日に即位され、新しい時代が始まります。
これを国民みんなで祝おうということで、2019年に限り、即位の日(5月1日)および即位礼正殿の儀が行われる日(10月22日)を 休日(祝日の扱い)とする「天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律」が設けられました。
賃金の支払い日が10連休の途中にある企業はどうする?
この休日については、「国民の祝日に関する法律(祝日法)」の3条3項に規定されている「前日および翌日が『国民の祝日』である日は休日とする」というルールも適用されます。
その結果、2019年4月27日から5月6日までのゴールデンウィークは、次のように10連休となります。
さて、この10連休ですが、企業実務にどのような影響を及ぼすのかを考えると、真っ先に思い当たるのが、給与の支払日です。10連休中は、金融機関等も休業日となりますが、賃金の支払日が10連休の間に訪れる企業では、いつ給与を支払えばよいのでしょう?
それにはまず、就業規則(給与規程)の規定内容を確認する必要があります。給与の支払日が金融機関等の休業日に当たる場合は、 支払日を休業日の前に繰り上げるか、休業日の後に繰り下げるか、その取り扱いを就業規則で定めているのが一般的です。
なお、取り扱いの定めがない場合は、民法142条の期間の計算の原則により繰り下げることになります。(休業日の翌日が支払日となります。)
しかし、この10連休には、もう一つ考慮すべき点があります。
それは、繰り下げることにより、4月中に給与の支払日がないという事態が生じ、逆に、繰り上げることにより、5月中に給与の支払日がないという事態が生じる可能性があることです。
●4月中に支払日がなくなる例
支払日が4月30日である場合に繰り下げると5月7日が支払日となり、4月には支払日がないことに!
●5月中に支払日がなくなる例
支払日が5月5日である場合に繰り上げると4月26日が支払日となり、5月には支払日がないことに!
厳密に言えば、これでは、労働基準法の「毎月1回以上払いの原則」に違反するということになり、この原則に従うのであれば、 企業によっては、繰り上げと繰り下げを逆にしなければならないケースも出てきます。特例的な対応をするのか、あくまでも原則を守るのか、悩みどころです。
とは言え、就業規則の規定内容を優先した結果、この原則を守れなかったとしても、今回、10連休という特殊な事情があるわけですから、それによって処罰されるとは考え難いです。よって、最終的にはそれぞれの企業の判断となります。
いずれにせよ、支払日が大きくズレる場合は、支払日がいつになるのかを明確にし、社員に前もって知らせてあげる必要があるでしょう。家計のやり繰りにも影響するでしょうから……。
自社なりの対応策を
未曽有の10連休について、企業実務上、法令の内容に抵触するか否かという問題もあるにはありますが、そのような問題については、余裕に応じて対応する、ということでいいでしょう。それよりも、支払日が偏る月の資金繰りや、取引先との連携など、企業の業務を円滑に回せるか否かが重要です。
なお、企業内で給与計算を行っている場合は、給与の支払日がいつになるのかは特に重要と言えます。結局、“給与計算をいつまでに済ませる必要があるのか”ということですから……。
「連休前後に残業が増える」といった事態も十分予想され、計算事務も煩雑になるおそれがあります。支払日に関する対応を考える際には、その点も考慮する必要があるでしょう。
まずは、じっくりとカレンダーと向き合って、問題点を洗い出し、企業にとっても社員にとっても無理が少ない対応策を、自社なりに決めていかれることをお勧めします。