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台風などで損害が生じた場合の税金

 台風や地震の被害にあわれて、損失が生じている方は、その損失を「雑損控除」により取り戻すことが可能です。 今回はこの雑損控除についてみていきます。

■雑損控除と対象資産

1.雑損控除とは

 個人が災害や盗難、横領などによって資産に損害を受けた場合に、一定の金額の所得控除を受けることができる所得税、住民税の制度です。一定の金額の所得控除を認めることで、損失を取り戻せるように配慮した税制上の制度です。

2.雑損控除の対象となる資産の要件

 次の2つの条件をどちらも満たしている資産が雑損控除の対象資産とされます。

(1)資産の所有者が次のいずれかであること
○納税者
○納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が38万円以下の者。

(2)棚卸資産もしくは事業用固定資産等又は「生活に通常必要でない資産」のいずれにも該当しない資産であること
雑損控除は、生活に必要な資産の損失に限定した制度であるため、それ以外の資産は雑損控除の対象外とされます。
棚卸資産や事業用固定資産に生じた損失は、事業所得上の経費として計算されるため、雑損控除の対象とはなりません。


3.「生活に通常必要でない資産」とは

 別荘など趣味、娯楽、保養または鑑賞の目的で保有する不動産などの資産(ゴルフ会員権など不動産以外の資産も含む)や、貴金属(製品)や書画、骨董など1個又は1組の価額が30万円超のものなど生活に通常必要でない資産、のことをいいます。

■雑損控除の対象となる災害等

 控除の対象となる災害等は次の通りです。

1.震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害

近年多く発生している竜巻による家財の損壊被害や通勤に使用している車両の水没などの被害が該当します。

2.火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害

3.害虫などの生物による異常な災害

身近な例では、スズメバチの駆除、シロアリの駆除などが該当します。稀に、被害を予防するためにかかった薬剤散布費用を控除の対象としている方がいますが、これは間違いです。雑損控除はあくまでも実際に受けた損害が対象であり、予防は損害とされていません。

4.盗難

5.横領

なお、詐欺や恐喝による被害の場合は、本人自身にも責任があるとみなされるため、雑損控除の対象外になります。

■雑損控除額の計算

1.雑損控除の金額

雑損控除により所得金額から控除できる金額は、次のA、Bの計算式のうちいずれか多い方の金額です。

(A) (差引損失額)-(総所得金額等)×10%

(B) (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円

※「災害関連支出の金額」とは
災害により滅失した住宅、家財などを取壊し又は除去するために支出した金額などです。

2.差引損失額の計算

差引損失額=損害金額+災害時に関連したやむを得ない支出の金額―保険金などにより補填される金額

3.損失の繰越

損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます。