HOME 実務解説 税金の知識 帳簿を紛失した個人事業者の推計課税

帳簿を紛失した個人事業者の推計課税

会計帳簿は極めて大切なもので保存の義務もありますが、 事業者の方が税務調査の前に資料準備をしていて過年度の会計帳簿の紛失に気付くこともあります。

帳簿を紛失してしまった場合、申告している儲け(所得金額)の金額が正しいかどうかを判断するための資料がないため、税務調査の現場では推計値により所得金額を計算する「推計課税」の考えかたが採られることがあります。

■推計課税とは

会計帳簿や領収書などの紛失で売上や経費の詳細が分からずに所得金額が計算できないような場合に、様々な方法で売上や経費を推計することで所得を間接的に計算し、推計所得額に対して所得税等を計算する方法です。

申告した所得税額よりも推計課税による所得税額の方が大きければ、新たな税負担を負う可能性が高くなります。

■推計課税が適用されるケース

1.売上や経費に根拠がない

帳簿書類が存在していても信用できないような場合、帳簿書類を紛失しているなどの場合は、推計課税が適用される可能性があります。

2.税務調査を拒否

 税務調査の際に、調査官から要求された資料を出さない、税務調査そのものを拒否するなどの態度を取ると、実額での所得計算が困難であると判断されて推計課税が適用される可能性があります。

■青色申告者への適用

 推計課税は、原則として青色申告者に対しては適用されません。ただし、青色申告を取消したあとに推計課税を適用することはできます。そのため、青色申告だから大丈夫ということはありません。

なお、青色申告の取消しは過去に遡って効力を発揮することがあり、推計課税を適用された場合に税負担が極めて大きなものとなる可能性があります。

■推計所得の算出方法

1.事業に関連する数値からの算出

 事業者は売上を上げるために様々な事業活動を行いますが、事業活動を行えばそこには経費が発生してきます。 経費は売上を獲得するための単年度投資ともいえ、多くの場合売上高と経費額には相応の関連性が認められます。

例えば、飲食業においてはガスや水道の使用量は客からの注文、つまり売上高と密な関連性があります。そこで、ガス会社や水道供給事業者に照会して消費量を把握できれば、そこから売上高を推定することは可能となります。

2.事業者の生活費や資産状況からの算出

 事業での儲けが生活費の原資であるため、住まい、家族構成、暮らしぶりなどから生活費を計算し、事業の儲けから生じた預貯金や株式、不動産、貴金属、自家用車などの保有資産を考慮し、事業所得を推計することができます。

すれば、そこから事業所得を推計することができます。

上記以外にも様々な方法で所得金額の推計が行われています。