HOME 実務解説 税金の知識 なぜ賃貸経営は破たんするのか?

なぜ賃貸経営は破たんするのか?

 空き室の増加が続くためか、 相続税対策として不動産賃貸経営を検討中の方から、アドバイスを求められることが多くなりました。
 本稿では、不動産賃貸経営つまずきの原因となる3つの問題点をみていきます。

■高額購入資金の返済が問題

1.軽視されがちな借入リスク

 中古でも都心や駅近の賃貸物件は高額であるため、自己資金で購入できる方は極々少数で、殆どの方は金融機関からの借入金で購入されています。
誰でも多額な借入金に対しては返済に不安があり警戒感を持ちますが、借入金は負債であり相続に際してはマイナス財産として相続税対策の効果がある、との理由から借入に対する抵抗感が薄れるようです。
 また、銀行などの金融機関の融資審査を通ったことから、借入金の返済可能性について銀行のお墨付きをいただいたかのように誤解もされるようです。


2.返済原資である家賃収入の減少リスク

 借入金は、通常数十年という長期にわたり返済を続けることになりますが、その返済にあてる原資は家賃収入となります。当初の収支計画では、家賃収入から元利支払い、固定資産税の納税などをしても現金が手元に残るように組まれています。
 しかし、5年後10年後は、物件の老朽化に伴い家賃は下がり、また空き室率は上がるため、資金収支がマイナスに転じることが多くの物件で起こります。こうした状況になると、賃貸物件が生み出す資金だけでは、借入金の返済が不可能となり、賃貸経営のスキームは破たんとなります。

 

■2022年問題で家賃は大幅に下落?

1.生産緑地の指定解除が増加

 人口減少にある日本では、郊外や地方は、賃貸の需要が下降状態にあり、現状は、賃貸物件の過剰供給状態にあります。そして、この状況をさらに悪化させるのではないか、と最近心配されているのが生産緑地法の適用期限切れに伴う2022年問題です。
 1974年公布の生産緑地法は、市街化区域内の農地を、農地として保全する「生産緑地」と、宅地などに転用される農地に分け、生産緑地の指定を受けると固定資産税は農地並みに軽減され、さらに相続税の納税猶予を受けることを可能としていました。
 同法の適用期限は2022年であるため、その時点で生産緑地の所有者が高齢や病気で農業に従事できない状態にあった時は、当該生産緑地を市区町村が買わない又は生産緑地として買う者がいない場合、生産緑地指定は解除されます。

2. 固定資産税対策のため賃貸物件が増加

 生産緑地指定が解除されると、これまで優遇されていた固定資産税が激増となるため、土地所有者は自らアパート・マンションを建てて固定資産税の軽減を受けるか、アパート・マンションデベロッパ―などへ売却することが予想されます。
いずれにせよ、生産緑地指定の解除を受けた土地が、さらなる賃貸アパート・マンションの供給過剰を引き起こし、家賃の大きな下落をもたらす可能性は高いでしょう。


■増大する修繕費用

1.入居者獲得のために欠かせない修繕

 賃貸経営のオーナーは、厳しい入居者獲得競争に勝たなければならず、そのためには新築物件に対する競争力を維持できるように老朽化した物件の修繕やリフォームにつとめる必要があります。
特に退室者が出ると、その部屋のリフォーム代に数十万円かかることもあり、さらに備え付けのエアコンや給湯設備の取り換えなどが重なると百万円単位での出費となることも珍しくありません。

2.予算を超えて増加する修繕費

 将来に予想される修繕費は予想収支計算に反映してあるのが普通ですが、実際の修繕費は資材や人件費の高騰から殆どのケースで予算オーバーとなります。
多額な修繕が毎月の元利支払いを困難とし、賃貸経営のスキームは破たんします。