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産業医が答えるストレスチェックQ&A

質問14.ストレスチェックに関する不利益取扱いとはどういうことを言うのでしょうか?

 

 

法律上明示的に禁止されている不利益取扱いとしては、労働安全衛生法第66 条の10 第3項の規定により、事業者は、労働者が面接指導の申出をしたことを理由として、不利益な取扱いをしてはならないとされています。この規定の趣旨は以下のとおりです。

① メンタルヘルス不調の未然防止を図るためには、要件に該当する者には面接指導を受けてもらう必要があります。従って面接指導の申出が行いやすい環境を整備する観点から、申出という行為をしたことを理由に、労働者に対する不利益な取扱いを事業者が行うことを禁止しました。
② 申出を受けた時点で事業者が有する情報は、個人のストレスチェック結果のみです。それだけで就業上の措置の要否や内容を判断することはできないため、この情報のみをもって、労働者に対する不利益な取扱いを事業者が行うことを禁止しました。

禁止されるべき不利益取扱いとしては、労働者が受検しないこと等を理由とした不利益取扱いも同様とされています。

それには、法律に規定されているもののほか、少なくとも、以下に掲げる不利益な取扱いについては合理的な理由がないため、事業者が行ってはならないものとされています。また、不利益取扱いの理由が以下に掲げる理由以外のものであったとしても、実質的に以下①~③に該当するとみなされる場合には、同様に事業者が行ってはならないものとしてみなされますので注意が必要です。

① ストレスチェックを受けない労働者に対して、受けないことを理由に、不利益な取扱いを事業者が行うこと。
② 個人のストレスチェック結果の提供に同意しない労働者に対して、同意しないことを理由に、不利益な取扱いを事業者が行うこと。
③ 面接指導の要件を満たしているにもかかわらず、面接指導の申出を行わない労働者に対して、申出を行わないことを理由に、不利益な取扱いを事業者が行うこと。

 その他の禁止されるべき不利益取扱いの考え方としては以下があります。

個人のストレスチェック結果に基づく面接指導の結果を踏まえて事業者が講じる措置の中には、労働者に対して不利益となりうるものの、それ以上に労働者の健康確保の必要性が高いなど、措置の内容によっては合理的な取扱いが求められる場合も考えられます。そのような場合と対応としては以下が想定されています。

① 事業者が、面接指導の結果を踏まえて何らかの就業上の措置を講じるに当たっては、その面接指導の結果に基づき、必要な措置について医師の意見を聴取するという法定の手続きを適正に取った上で、医師の意見を勘案し、必要があると認めるときは、労働者の実情を考慮して、必要な措置を講じる必要があります。このようなプロセスを経ずに就業上の措置を講じてはならないとされています。
なお、就業上の措置の実施及びその内容を決定する場合には、あらかじめ労働者の意見を聴き、十分な話合いを通じてその労働者の了解が得られるよう努める必要があります。

② 労働安全衛生法に基づく就業上の措置は、労働者の健康を保持することを目的とするものであるため、当該労働者の健康の保持に必要な範囲を超えた措置を講じてはなりません。

例えば、以下の行為は、一般に、労働者の健康の保持に必要な範囲を超えた措置であると考えられるため、避けるべきとされました。

a 面接指導の結果を理由として、以下の措置を行うこと。
(a) 解雇すること。
(b) 期間を定めて雇用される者について契約の更新をしないこと。
(c) 退職勧奨を行うこと。
(d) 不当な動機・目的をもってなされたと判断されるような配置転換又は職位(役職)の変更を命じること。
(e) その他の労働契約法などの労働関係法令の定めに反する措置を講じること。
b 面接指導の結果に基づき医師が事業者に述べた必要な就業上の措置とは、内容・程度が著しく異なる措置であって、労働者に対して不利益な取扱いとなるものを講じること。