人事制度10の間違い【その5】 評価制度は公正な給与を決めるために必要である → 本当か?
- 公開日:2008年6月26日.
評価制度 ― 嫌な響きです
もしあなたが会社に勤めている営業マンだったら、もしあなたが工場で働く作業員だったら、そしてもしあなたがレストランで働くウェイトレスだったら、どうして「評価制度」と聞いただけで嫌な感じがするのでしょうか。
それは今の評価制度が社員を評価する、つまり誰が優秀な社員で誰がダメな社員かを順序付けし、その順序に基づいて給与や賞与を決めようとしている制度だからです。
しかし、このような考え方で人はヤル気をだしてくれるでしょうか。
もしあなたが非常に優秀で、そのことが経営者や上司に認められている場合にはちょっといい気分かもしれません。しかし、もしあなたが平均的な成績の社員だったら、またはあまり出来るとは言えない社員だったらどうでしょうか。たぶん、「あー、嫌な制度がはじまりそうだなぁ」と感じてしまうことでしょう。
人事制度、特に評価制度は、働く皆さんにもっとヤル気を出してもらって企業の業績を上げること、つまり生産性を上げたり、品質を改善したり、サービスを良くしたり、さらには安全を確保したりすることにあるはずです。
今までの評価制度の最大の間違いはこの点にあります。評価制度は、給与を決めるため、昇給額を決めるため、賞与額を決めるために行うものだという基本的な理念に沿って作られていることです。
評価制度の真の目的をもう一度考え直す必要があるのです。社員が初めて会社に就職したとき、「この会社で頑張ってみよう」と思ったはずです。そんな社員の気持ちを大切に育めるような制度に変えていかなければなりません。
評価制度は社員にヤル気を出し、働きがいを持ってもらうための制度です
では、どのように評価制度を変えれば働く人たちにヤル気や働きがいを持ってもらえるような制度、それも評価として機能しうる制度とすることができるでしょうか。
この解決策として、「まず、期待する社員の能力と行動を明確にし、その期待に応えてくれた社員に良い評価を出す」という制度にします。
「何をすれば評価が良くなるのか」、「どんな能力や努力が自分に期待されているのか」を期の始めにはっきりさせるのです。いわば試験に出る問題を前もって生徒に教えておくようなものです。すると生徒はその問題だけは解けるようになるのと同じで、社員も期待されていることだけは実行してくれるでしょう。企業ではそのことが大切なのです。為すべき事が出来ていない企業が多々あります。高尚な評価項目より為すべき項目をきっちり社員が実行してくれるだけで企業の業績は向上します。