人事制度10の間違い【その3】 目標管理を導入しないと人事制度は導入できない → 本当か?
- 公開日:2008年6月26日.
中小企業にとっては、目標管理の導入も人事制度と同様に大仕事です
多くの中小企業にとって、目標管理の導入は簡単ではありません。まだまだ決算書をオープンにしていない会社も多くありますし、会社の基本理念や経営方針を煮詰めるまでには至っていない企業も多いのです。また、目標管理を始めるには、管理者の教育も欠かせませんので、中小企業にとっては、目標管理制度を導入することだけでも大仕事と言えるでしょう。
人事制度と直結した目標管理は問題が多い
一方、目標管理と人事制度、特に評価制度と直結させた場合には、よほど問題の出ないように社員を教育し、準備しておかないとうまくいきません。この理由は、評価制度が目標達成度の評価が中心となってしまい、成果主義、それも個人成果主義に陥りやすいからです。
前述したとおり、個人成果主義では、個人プレーの蔓延、低い目標設定の常套化、協力性の衰退、などの問題が発生してしまって、結果的にはギクシャクした組織風土と上下の信頼や経営陣と社員間の信頼が無くなってしまいます。
目標管理とは切り離して人事制度を作成します
このような事態を避けるため、そして目標管理制度が整備されていなくても人事制度を導入して、「社員を育てる」しくみをつくるために、目標管理とは切り離して人事制度を導入します。
人事制度と目標管理を切り離す方が得策であると言う理由は他に4つあります。
その1つは、人事制度の基本的な活動周期は1年間(定期評価の場合)、又は半年(賞与評価の場合)ですが、目標管理の活動周期は、最低でも月に1回は目標達成度のフォローを行い、目標の設定変更(あまり推奨しませんが)や行動計画の変更を行なう必要があります。
2つ目は、目標設定の自由度を高めるためです。つまり、目標達成度が評価の尺度となる場合にはどうしても目標自体を低く設定したくなりますが、評価と切り離すことによって自由な目標設定が可能となります。
3つ目は、評価するためには目標設定は数値目標とすることが要求されますが、目標管理を評価と切り離しておくと非数値目標も無理なく目標として設定可能となるためです。
そして4つ目は、目標管理では、行動計画が非常に重要ですが、結果を求める傾向が強い評価制度では行動の重要さを軽視し勝ちとなります。