2023年1月に岸田首相が年頭会見で検討を表明した「異次元の少子化対策」。異次元の少子化対策の一環として追加されたのが「選択的週休3日制」です。政府は、この制度の“普及に取り組む”とし、仕事と育児の両立に取り組む労働者の心身の健康を守る対策の一つとして注目されています。
第9回目のコラムでもご紹介させていただきましたが、「選択的週休3日制」は従業員のエンゲージメントが高まる“魅力のある職場環境づくり”に役立つ取り組みの一つです。
働く形を大きく変える可能性のある「選択的週休3日制」。具体的にどんな制度なのでしょうか? そこで第10回目では、「選択的週休3日制」の概要をご説明いたします。
一通りの実務の基礎を習得でき、企業の成長に活用できる
「人的資本経営検定BASIC」はこちら↓
https://www.kaiketsu-j.com/index.php/toolbox/11588-human-capital-basic
過去記事はこちら
第1回 最近ニュースでよく目にするワードの「人的資本経営」って?
第2回 人的資本経営と密接に関わっている「リスキリング」
第3回 「リスキリング」で対象となる助成金・給付金
第4回 リスキリングとともによく出てくるワードの「DX」とは?
第5回 「DX人材」の育成について:人材確保・育成に向けた対応策
第6回 DX人材の育成:専門実践教育訓練を受けている(リスキリングしている)従業員に対して企業ができるサポートとは
第7回 教育訓練休暇等を付与した際に受けられる人材開発支援助成金(教育訓練休暇等付与コース)
第8回 リスキリングをすると“従業員エンゲージメント”が上がる⁉「エンゲージメント」とは
第9回 従業員のエンゲージメントが高まる魅力のある職場環境づくりとは?具体的な取り組み事例15
「選択的週休3日制」~給与体系・働き方の主な3パターン~
これまで「完全週休2日制」だったところを「選択的週休3日制」を導入するとなると、給与体系や働き方(労働時間)をどのようにしたらいいか悩むところですよね。
「選択的週休3日制」を導入するにあたっては、該当する従業員の給与体系・働き方をまずは決める必要があります。同制度の給与体系・働き方には、主に次の3パターンがあります。
パターン1:労働時間・給与ともに維持
→1日の労働時間を長めにし、労働条件・給与条件を維持したまま週休3日制を導入するパターンです。このパターンでは総労働時間を維持することになり、通常1日の労働時間が法定の8時間を超えることになるため、1か月単位の変形労働時間制やフレックスタイム制を導入する必要も出てきます。
パターン2:労働時間・給与ともに減少
→1日分の労働時間の減少に応じて、給与を減額して改定するパターンです。報酬削減型となります。
パターン3:労働時間が減少し、給与は現状維持
→1日の労働時間が8時間で週休2日制だった場合、8時間×5日となります。給与は現状維持のまま「週休3日制」を導入すると、8時間×4日となり、従業員にとっては単純に「1日休みが増えた」ことになります。
以上、「選択的週休3日制」~給与体系・働き方の主な3パターン~について解説いたしました。週休3日制を選択できるようになると、子育て世代の働きやすさが向上すると考えられています。また、これらのパターンからどれかを選択しなければならないというわけではなく、同じ企業内でいくつかのパターンを選ぶことも可能です。
なお、「選択的週休3日制」は『魅力ある職場づくり推進奨励金(公益財団法人 東京しごと財団)(※)』の申請要件の取り組みの一つにもなっています。第9回目のコラムをご参照ください。
(※)都内の中小企業等が対象です。
次回のコラムでは、「選択的週休3日制」を導入する際の注意事項についてご紹介いたします。