マイナンバー制度では、マイナンバーの収集、利用、保管、廃棄・削除についても厳格に決められており、法令に違反した場合には違反行為をした本人だけでなく事業者にも厳しい罰則が科されます。もしマイナンバー流失第1号といったことになってしまえば、大々的に報じられることが予想され、企業の評判や社会的信頼が失墜し、そのダメージは計り知れないものになってしまいます。企業としては、マイナンバーの取り扱いに細心の注意を払い、管理に万全を期すために、通知までに社内の体制をきちんと整備しておきましょう。
社内整備に向けてのスケジュール
平成28年1月の制度開始は迫っています。企業は、制度開始までにマイナンバーの収集・利用・保管・廃棄の運用方法を確立し、社内の体制を整えなければなりません。制度開始に先駆けて平成27年10月にマイナンバーの通知が行われますが、通知とともに社員や顧客・株主からの問い合わせが寄せられることも考えられますので、事実上10月の通知までに体制を構築しておくのが望ましいといえます。
マイナンバー制度開始に向けて、会社としていつまでに何の準備を進めていけばよいか、理想的なスケジュールは次のようになります。
1)社内体制の整備
8月までに取扱者や責任者を決め、規程類や管理体制の整備をし、個人番号管理のための具体的な業務フローを作成する
2)社内研修会の実施
8月から9月にかけて全社員向けの説明会と実務担当者向けの安全管理研修を実施
3)個人番号の取得
10月以降、社員やパート・アルバイト、取引先(支払調書の作成が必要な弁護士や税理士、社労士、不動産の貸主等)からマイナンバーを収集し、ルールに則って情報管理
4)税・社会保険関係の手続きに個人番号を記載
平成28年1月より番号記載の手続きが発生
(マイナンバーへの対応)
社内体制の整備① 規程・業務マニュアルの整備
マイナンバーは全部署・全社員が対象となりますので、対応は当然全社的なものとなります。全社対応ということで、社内体制の整備はトップダウンで実施するとスムーズに準備が進められます。人事、総務、経理、社内システムなどマイナンバーに関連する業務に携わる部門で横断的な対策チーム作り、マイナンバーが関わってくる業務の洗い出しを行います。