「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(マイナンバー法)」の成立により(平成25年5月31日公布)、マイナンバー制度がスタートします。制度導入が迫ってきたことで内閣府のTVCMやマスメディアなどで「マイナンバー」という言葉が話題になってきましたが、そもそもマイナンバー制度とはどのような制度なのでしょう。企業にどのように関係してくるのか、基本から確認しましょう。
マイナンバー制度の目的 何のために導入するのか?
政府は、マイナンバー制度を情報化社会のインフラと位置づけています。これまで複数の機関でそれぞれに保有してきた個人の情報を、マイナンバー(個人番号)により紐づけることで、同一人の情報であることの確認がスムーズにできるようになります。これにより、社会保障、税、災害対策の分野での情報管理が効率化され、国民の利便性を高め、公平・公正な社会を実現していこうとするものです。
利便性の一例として、現在では、行政手続きに必要な添付書類を入手するために、市役所、税務署、年金事務所など複数の機関を回って提出書類を整えた上で、提出しなければならなかったような場合、マイナンバー制度の導入により添付書類が不要となり、手続きが簡単になるということがあげられます。
また、所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなるため、負担を不当に免れることや不正受給を防止するとともに、本当に困っている方への支援が可能になり、公平・公正な社会の実現につながるとしています。
しかし、利便性が感じられるようになるまでには時間がかかりますので、制度導入の数年は、特に企業にとって負担や手間のかかるという制度という側面もあります。
制度の概要 個人番号と法人番号
平成27年10月以降、住民票を有する方にマイナンバーが通知されます。マイナンバーは、12ケタの番号で、その番号は原則として一生変わりません。そして、制度のスタートとなる平成28年1月以降の行政機関への一定の手続き書類にマイナンバーの記載が必要となってきます。
マイナンバー法では、マイナンバーの利用範囲は行政手続きのみ、つまり「社会保障、税、災害対策」だけに限定されています。たとえば、企業がマイナンバーを使って社員を管理するといった民間利用は現段階では認められていません。厳格な利用制限がありますので、その取扱いには注意が必要になります。
(マイナンバーの利用範囲)
一方、個人とは別に、法人にも13ケタの法人番号が通知されます。平成28年1月以降、社会保障や税関係の申告書類や法定調書の提出にあたって、個人番号・法人番号の記載が求められることになります。
個人番号の利用範囲は制限されていますが、法人番号の利用範囲は特に制限はなく、法人番号は国税庁の法人番号サイトでインターネット上に公表されます。法人番号は一法人につき一つの番号が付与され、支店や営業所などがそれぞれ番号を持つことはありません。
法人番号は、平成27年10月以降、書面にて通知されますが、その書面の届け先は設立登記法人が登記されている所在地となりますので、移転したにもかかわらず、所在地の変更手続きを行っていない場合は、事前の更新手続きが必要です。
企業にどう関わってくるのか
マイナンバー法の施行に伴い、企業は「個人番号関係実務実施者」として、マイナンバーを記載すべき書類の作成、提出などの事務において必要とされる範囲内でのみ、マイナンバーを取り扱うことになります。