1.パート・アルバイト労働者の定義とは 労働基準法の世界では、「所定労働日数」「所定労働時間」に応じて身分判断がされます。パート・アルバイトといった名称で勤務する労働者であっても、週の所定労働日数(時間)の実態が正社員と変わらないような場合、正社員と同じ年次有給休暇を付与しなければいけません。なぜなら、パート・アルバイト労働者の年次有給休暇については、正社員の1週間の所定労働日数又は1週間当たりの平均所定労働日数との比率を考慮して付与する旨が労働基準法上(第39条3項)に規定されているからです。つまりここでは、一定範囲内の所定労働日数で働く労働者をパート・アルバイト労働者として取扱い比例付与することとされており、名称の如何は問いません。では「一定の範囲内」についてですが、次の(1)(2)の範囲をパート・アルバイト労働者として比例付与の対象とすることとしています。
(1)1週間の所定労働時間が30時間未満 + 1週間の所定労働日数が4日以下
又は
(2)1週間の所定労働時間が30時間未満 + 1年間の所定労働日数が216日以下 (労働基準法 第39条・労働基準法施行規則 第24条の3)
3.パート・アルバイトから正社員への切り替え では具体的にパート・アルバイト労働者から正社員へ切替わった場合、どのような処理となるかを見ていきましょう。 通達において、年次有給休暇の付与日数は、基準日の所定労働日数により決定されるものとされています(S63.3.14 基発150号)。つまり、基準日(付与日)の所定労働日数の長短により、通常の有給休暇の日数が付与されるのか、比例付与の有給休暇の日数が付与されるのか判断され、道がわかれることになります。
パート・アルバイトから正社員へ登用する傾向が増えています。それ故に年次有給休暇の付与に関する設問のようなケースは、どの企業も遭遇する問題であると思われます。一見すると複雑に感じられますが、実は非常にシンプルです。パート・アルバイトから正社員、またその逆の場合も、すべては付与日において、どのような所定労働日数で勤務しているかで付与日数が決定します。これを機会に、パート・アルバイト労働者に付与している有給休暇が適正であるか再度確認してみると良いでしょう。 < 社会保険労務士 佐藤正欣 >