休日に労働をさせた場合に、後で代休を与えても労働をさせた日は休日のままであり、代休とした日は労働日のままで、休日労働をさせたことには変わりはありません。そのため、休日労働に対する割増賃金は、支払わなければなりません。代休とした日は、単に労働の義務を免除されたに過ぎません。
代休と似た制度に、休日の振替があります。休日の振替は、予め就業規則に休日の振替に関する定め、振替の事由や手続きも定めたうえで事前に振替える日を指定して行います。振替日を指定することにより、休日と労働日が入れ替わり、休日労働にはなりません。休日労働をさせた後で振替えるものではありません。
割増率について下の表の場合、代休として処理した日曜日が法定休日であれば3割5分の割増賃金の支払いが必要となります。法定外休日であれば割増賃金の支払義務は生じません。休日労働を振替休日で対応した場合はもとより割増賃金は発生しません。ただし、代休日或いは振替日が翌週以降である場合は、時間外労働(1週40時間を超えることによる)に対する割増賃金が生じる可能性があります。
代休として付与された日は、休日ではなく労働日です。
今までの裁判例
休日労働させながら割増賃金支払義務が免除されるのは、現実に、事前又は事後の特定の労働日を休日に振替えた場合に限られる。 (ブルーハウス事件 札幌地裁 平10.3.31判決)
賃金を計算する場合、代休とされる日について無給とし、休日出勤した日について135%と計算するか、通常どおり計算し休日出勤した日について35%の割増賃金を支給するか、いずれか明確にしてください。
〈PSR正会員 川田 陽一〉