年次有給休暇期間中の賃金は、
1 平均賃金
2 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
3 健康保険法の標準報酬日額に相当する金額
のうち、会社があらかじめ定めた方法で計算します。1と2は就業規則等で、3の場合は労使協定を締結した上で、就業規則等によって定める必要があります。
この場合の賃金の選択は、労働者によって取り扱いを変えたり、会社の恣意によってその都度、選択するといった性格のものではなく、就業規則等によって方法を定めた場合は、必ずその定められた方法で賃金を支払わなければなりません。
パートタイマーの場合は、必ずしも毎日同じ時間に出勤して退勤するわけではなく、日によって変則的な勤務形態をとっている人も多いと思います。このような場合でも、年次有給休暇期間中の賃金は、基本的には、労働条件通知書で明示された始業時刻および就業時刻を基準として、計算することになります。 ただし、時給制のパートタイマーで1日の所定労働時間が定まっていない人や、曜日によって所定労働時間が変わる人の場合には、通常の賃金に基づいて支払うと有給休暇の所得日によって不公平が生じてしまうため、平均賃金に基づく方法が好ましいといえます。 また、パートタイマーの場合は、週の所定労働時間が短いことから、社会保険の被保険者に該当しない人も多いため、標準報酬日額という方法は妥当ではないケースが多いでしょう。
年次有給休暇期間中の賃金は、就業規則等で定めた方法によって支給することになるため、計算方法が明確になっていない場合は、就業規則の整備が急務となります。 パートタイマーの場合は、一般的に標準報酬日額による方法は取りづらいので、勤務形態の実態を考慮して、通常の賃金によるか、平均賃金によるかを慎重に定める必要があるでしょう。 < 特定社会保険労務士 PSR正会員 小岩 広宣 >