連載6回目の今回は、健康情報の保護と不利益な取扱いの防止について、注意すべき点をまとめてみます。これまでの連載の中で触れてきた事柄もあると思いますが、今一度ご確認ください。
ストレスチェック制度における健康情報の保護と不利益な取扱いの防止
これまで紹介してきたストレスチェック制度は、労働者(従業員)の個人情報が適切に保護され、不正な目的で利用されないようにすることで、労働者も安心して受け、適切な対応や改善につなげられる仕組みです。
このことを念頭において、情報の取扱いに留意するとともに、不利益な取扱いを防止しなければなりません。
<健康情報の保護(情報の取扱いの留意点)>
○ 事業者がストレスチェック制度に関する労働者の秘密を不正に入手するようなことがあってはなりません。
○ ストレスチェックや面接指導で個人の情報を取り扱った者(実施者である医師等とその補助をする実施事務従事者)には、労働安全衛生法で守秘義務が課され、違反した場合は罰則の対象となります。
○ 事業者に提供されたストレスチェック結果や面接指導結果などの個人情報は、適切に管理し、社内で共有する場合にも、健康確保に必要な最小限の範囲にとどめましょう。
<不利益取扱いの防止>
事業者が、労働者に対して、次の行為を行うことは禁止されています。
○ 次のことを理由に不利益な取扱いを行うこと
・医師による面接指導を受けたい旨の申出を行ったこと(労働安全衛生法で禁止)
・ストレスチェックを受けないこと*
・ストレスチェック結果の事業者への提供に同意しないこと*
・医師による面接指導の申出を行わないこと*
○ 面接指導の結果を理由として、解雇、雇い止め、退職勧奨、不当な動機・目的による配置転換・職位の変更を行うこと*
*指針において、禁止とされています。
☆ ストレスチェック制度の連載は、今回で終了させていただきます。実施義務がある事業場(従業員数50人以上)で未実施の場合は、遅くとも本年の11月30日にまでに1回目のストレスチェックを実施する必要があります。健康情報の保護など、実施後にも注意すべき点がありますので、法令上の義務を履行できるトータル的な体制づくりが重要です。 また、実施が努力義務とされている小規模事業場(従業員数50人未満)におかれましても、従業員のメンタルヘルス不調のリスクの低減の手段として、ストレスチェックを実施する意義はあります。地域産業保健センターにおいて、小規模事業場に対する相談支援なども行われています.
〈補足〉複数の小規模事業場がストレスチェックや面接指導を合同で実施した場合に、その費用の一部を助成する制度が設けられています。しかし、現在、その受付は終了しています。本年4月以降に次回分の詳細が公表されることになっています。