働き方改革関連法による同一労働同一賃金の実現に向けた改正(労働者派遣法及びパートタイム(短時間)労働法などの改正)が、2020(平成32)年4月から施行されることになっています。
その施行に向けて、関係省令(労働者派遣法施行規則、短時間労働法施行規則など)及び関係指針(派遣元指針、派遣先指針など)を改正する、新たな指針(同一労働同一賃金ガイドライン)を策定する、といった改正が行われました。
施行までに少し期間がありますが、準備に万全を期すため、早めに公布されたようです。
〔2020(平成32)年4月1日施行・適用(中小企業については、一部、1年遅れの適用)〕
※厚生労働省から、同一労働同一賃金に関する改正の概要をまとめたリーフレットで、この省令・指針の改正内容を反映させたものが公表されています。
ご確認の上、施行に向けて、必要な準備を進めるようにしてください。
<雇用形態に関わらない公正な待遇の確保~ 同一企業内における正社員・非正規社員の間の不合理な待遇差の解消~【省令・指針反映版】>
https://www.mhlw.go.jp/content/000474490.pdf
概要は以下の通りです。
○働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備及び経過措置に関する省令(平成30年厚生労働省令第153号)
○派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する件(平成30年厚生労働省告示第427号)
○派遣先が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する件(平成30年厚生労働省告示第428号)
○事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等に関する措置等についての指針の一部を改正する件(平成30年厚生労働省告示第429号)
○短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針(平成30年厚生労働省告示第430号)
1 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備及び経過措置に関する省令
1 労働者派遣法施行規則の一部改正関係
(1)事業報告書
①労働者派遣法第30条の4第1項の協定(以下「協定」という。)を締結した派遣元事業主は、事業報告書には、当該協定を添付しなければならないものとすることとされました。
②当該事業報告書において、協定対象派遣労働者(労働者派遣法第30条の5に規定する協定対象派遣労働者をいう。以下同じ。)の職種ごとの人数及び職種ごとの賃金額の平均額を報告するものとすることとされました。
(2)関係者に対する情報の提供
労働者派遣法第23条第5項の厚生労働省令で定める事項に、次の①及び②を加えるものとすることとされました。
①協定を締結しているか否かの別
②協定を締結している場合にあっては、協定対象派遣労働者の範囲及び当該協定の有効期間の終期
(3)労働者派遣契約に定める事項
労働者派遣法第26条第1項第10号の厚生労働省令で定める事項に、次の①及び②を加えるものとすることとされました。
①派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度
②派遣労働者を協定対象派遣労働者に限るか否かの別
(4)派遣先から派遣元事業主への待遇に関する情報の提供
①労働者派遣法第26条第7項の情報(以下「待遇に関する情報」という。)の提供は、書面の交付等により行わなければならないものとすることとされました。
また、派遣元事業主は当該書面等を、派遣先は当該書面等の写しを、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣が終了した日から起算して3年を経過する日まで保存しなければならないものとすることとされました。
②労働者派遣法第26条第7項の厚生労働省令で定める情報は、次のア及びイに掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる情報とするものとすることとされました。
ア 労働者派遣契約に、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を協定対象派遣労働者に限定しないことを定める場合次のⅰからⅴまでに掲げる情報
ⅰ 比較対象労働者(労働者派遣法第26条第8項に規定する比較対象労働者をいう。以下同じ。)の職務の内容(同項に規定する職務の内容をいう。以下同じ。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲並びに雇用形態
ⅱ 当該比較対象労働者を選定した理由
ⅲ 当該比較対象労働者の待遇のそれぞれの内容(昇給、賞与その他の主な待遇がない場合には、その旨を含む。)
ⅳ 当該比較対象労働者の待遇のそれぞれの性質及び当該待遇を行う目的
ⅴ 当該比較対象労働者の待遇のそれぞれについて、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇に係る決定をするに当たって考慮したもの
イ 労働者派遣契約に、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を協定対象派遣労働者に限定することを定める場合次のⅰ及びⅱに掲げる情報
ⅰ 労働者派遣法第40条第2項の教育訓練の内容(当該教育訓練がない場合には、その旨)
ⅱ 労働者派遣法施行規則第32条の3各号に掲げる福利厚生施設の内容(当該福利厚生施設がない場合には、その旨)
③労働者派遣法第26条第8項の厚生労働省令で定める者は、次のとおりとすることとされました。
ア 職務の内容並びに当該職務の内容及び配置の変更の範囲が派遣労働者と同一であると見込まれる通常の労働者
イ アの労働者がいない場合にあっては、職務の内容が派遣労働者と同一であると見込まれる通常の労働者
ウ ア及びイの労働者がいない場合にあっては、ア及びイに掲げる者に準ずる労働者
④労働者派遣法第26条第10項の情報の提供(以下「変更時の情報の提供」という。)は、待遇に関する情報に変更があったときは、遅滞なく、書面の交付等により行わなければならないものとすることとされました。
また、派遣元事業主は当該書面等を、派遣先は当該書面等の写しを、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣が終了した日から起算して3年を経過する日まで保存しなければならないものとすることとされました。
⑤派遣労働者を協定対象派遣労働者に限定しないことを定めた労働者派遣契約に基づき現に行われている労働者派遣に係る派遣労働者の中に協定対象派遣労働者以外の者がいない場合には、変更時の情報(労働者派遣法第40条第2項の教育訓練及び労働者派遣法施行規則第32条の3各号に掲げる福利厚生施設に係るものを除く。)の提供を要しないものとすることとされました。
この場合において、当該派遣労働者の中に新たに協定対象派遣労働者以外の者が含まれることとなったときは、派遣先は、遅滞なく、当該情報を提供しなければならないものとすることとされました。
⑥労働者派遣契約が終了する日前1週間以内における変更であって、当該変更を踏まえて派遣労働者の待遇を変更しなくても労働者派遣法第30条の3の規定に違反しないものであり、かつ、当該変更の内容に関する情報の提供を要しないものとして労働者派遣契約で定めた範囲を超えないものが生じた場合には、変更時の情報の提供を要しないものとすることとされました。
(5)協定
①労働者派遣法第30条の4第1項の労働者の過半数を代表する者(以下「過半数代表者」という。)は、次のア及びイのいずれにも該当する者とすることとされました。
ただし、アに該当する者がいない場合にあっては、過半数代表者はイに該当する者とすることとされました。
ア 労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと
イ 協定をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の民主的な方法による手続により選出された者であって、派遣元事業主の意向に基づき選出されたものでないこと
②派遣元事業主は、労働者が過半数代表者であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として、当該労働者に対して不利益な取扱いをしないようにしなければならないものとすることとされました。
また、派遣元事業主は、過半数代表者が協定に関する事務を円滑に遂行することができるよう必要な配慮を行わなければならないものとすることとされました。
③労働者派遣法第30条の4第1項の厚生労働省令で定めるものは、次のとおりとすることとされました。
ア 労働者派遣法第40条第2項の教育訓練
イ 労働者派遣法施行規則第32条の3各号に掲げる福利厚生施設
④労働者派遣法第30条の4第1項第2号の厚生労働省令で定める賃金は、通勤手当、家族手当、住宅手当、別居手当、子女教育手当その他名称の如何を問わず支払われる賃金(職務の内容に密接に関連して支払われるものを除く。)とすることとされました。
⑤労働者派遣法第30条の4第1項第2号イの厚生労働省令で定める賃金の額は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所の所在地を含む地域において派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者であって、当該派遣労働者と同程度の能力及び経験を有する者の平均的な賃金の額とすることとされました。
⑥労働者派遣法第30条の4第1項第6号の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとすることとされました。
ア 有効期間
イ 労働者派遣法第30条の4第1項第1号に掲げる派遣労働者の範囲を派遣労働者の一部に限定する場合には、その理由
ウ 派遣元事業主は、特段の事情がない限り、一の労働契約の契約期間中に、当該労働契約に係る派遣労働者について、派遣先の変更を理由として、協定対象派遣労働者であるか否かを変更しようとしないこと
⑦労働者派遣法第30条の4第2項の周知は、次のいずれかの方法により行わなければならないものとすることとされました。
ア 書面の交付の方法
イ 次のいずれかの方法によることを当該労働者が希望した場合における当該方法
ⅰ ファクシミリを利用してする送信の方法
ⅱ 電子メール等の送信の方法(当該電子メール等の受信をする者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。以下同じ。)
ウ 電子計算機に備えられたファイル、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、労働者が当該記録の内容を常時確認できる方法
エ 常時当該派遣元事業主の各事業所の見やすい場所に掲示し、又は備え付ける方法(協定の概要について、ア又はイの方法により併せて周知する場合に限る。)
⑧派遣元事業主は、協定を締結したときは、当該協定に係る書面を、その有効期間が終了した日から起算して3年を経過する日まで保存しなければならないものとすることとされました。
(6)労働者派遣法第30条の5の対象とならない賃金
労働者派遣法第30条の5の厚生労働省令で定める賃金は、通勤手当、家族手当、住宅手当、別居手当、子女教育手当その他名称の如何を問わず支払われる賃金(職務の内容に密接に関連して支払われるものを除く。)とすることとされました。
(7)待遇に関する事項等の説明
①労働者派遣法第31条の2第2項の厚生労働省令で定める方法は、次のいずれかの方法によることを当該派遣労働者が希望した場合における当該方法とすることとされました。
ア ファクシミリを利用してする送信の方法
イ 電子メール等の送信の方法
②労働者派遣法第31条の2第2項第1号の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとすることとされました。
また、派遣元事業主は、同項の規定により派遣労働者に対して明示しなければならない当該事項を事実と異なるものとしてはならないものとすることとされました。
ア 昇給の有無
イ 退職手当の有無
ウ 賞与の有無
エ 協定対象派遣労働者であるか否か(協定対象派遣労働者である場合には、当該協定の有効期間の終期)
オ 派遣労働者から申出を受けた苦情の処理に関する事項
③労働者派遣法第31条の2第2項(第2号に係る部分に限る。)及び第3項(第2号に係る部分に限る。)の規定による説明は、書面の活用その他の適切な方法により行わなければならないものとすることとされました。
④労働者派遣の実施について緊急の必要があるためあらかじめ文書の交付等により労働者派遣法第31条の2第3項(第1号に係る部分に限る。)の明示を行うことができないときは、当該文書の交付等以外の方法によることができるものとすることとされました。
この場合において、次のいずれかに該当するときは、当該労働者派遣の開始の後遅滞なく、文書の交付等により当該派遣労働者に明示しなければならないものとすることとされました。
ア 当該派遣労働者から請求があったとき
イ ア以外の場合であって、当該労働者派遣の期間が1週間を超えるとき
⑤労働者派遣法第31条の2第3項第1号の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとすることとされました。
ア 労働契約の期間に関する事項
イ 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
ウ 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
エ 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
オ 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
カ 派遣労働者から申出を受けた苦情の処理に関する事項
(8)派遣元管理台帳の記載事項
労働者派遣法第37条第1項第13号の厚生労働省令で定める事項に、派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度を加えるものとすることとされました。
(9)派遣先管理台帳の記載事項
労働者派遣法第42条第1項第11号の厚生労働省令で定める事項に、派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度を加えるものとすることとされました。
(10)調停
労働者派遣法第47条の7第1項の調停の手続について、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律施行規則第3条から第12条までの規定を準用することとし、所要の読替えを定めるものとすることとされました。
2 短時間労働法施行規則の一部改正
(1)題名
題名を「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則」に改めることとされました。
(2)労働条件の明示の方法
事業主は、短時間・有期雇用労働法第6条第1項の規定により短時間・有期雇用労働者に対して明示しなければならない労働条件を事実と異なるものとしてはならないものとすることとされました。
また、労働条件の明示の方法について、短時間・有期雇用労働者が希望した場合には、電子メールに加え、その他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信の送信の方法(当該短時間・有期雇用労働者がその記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)とすることができるものとすることとされました。
(3)短時間・有期雇用労働法第10条の対象とならない賃金
短時間・有期雇用労働法第10条の厚生労働省令で定める賃金は、通勤手当、家族手当、住宅手当、別居手当、子女教育手当その他名称の如何を問わず支払われる賃金(職務の内容に密接に関連して支払われるものを除く。)とすることとされました。
〔確認〕短時間・有期雇用労働法第10条
事業主は、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間・有期雇用労働者(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者を除く。)の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を勘案し、その賃金(通勤手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く。)を決定するように努めるものとする。
1の省令は、2020(平成32)年4月1日から施行されます。
ただし、中小事業主については、2021(平成33)年3月31日までの間、2「短時間労働法施行規則の一部改正」の(2)及び(3)は適用されません。
2 派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する件
1 協定対象派遣労働者に対して行う安全管理に関する措置及び給付
派遣元事業主がその雇用する協定対象派遣労働者に対して行う安全管理に関する措置及び給付のうち、当該協定対象派遣労働者の職務の内容に密接に関連するものについては、派遣先に雇用される通常の労働者との間で不合理と認められる相違等が生じないようにすることが望ましいこととすることとされました。
2 派遣労働者の待遇に関する説明等
派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者に対し、労働者派遣法第31条の2第4項の規定による説明を行うに当たっては、次の事項に留意することとすることとされました。
(1)派遣労働者(協定対象派遣労働者を除く。以下この(1)及び(2)において同じ。)に対する説明の内容
①派遣元事業主は、労働者派遣法第26条第7項及び第10項並びに第40条第5項の規定により提供を受けた情報(以下「待遇等に関する情報」という。)に基づき、派遣労働者と比較対象労働者(労働者派遣法第26条第8項に規定する比較対象労働者をいう。以下同じ。)との間の待遇の相違の内容及び理由について説明することとされました。
②派遣元事業主は、派遣労働者と比較対象労働者との間の待遇の相違の内容として、次のア及びイに掲げる事項を説明することとされました。
ア 派遣労働者及び比較対象労働者の待遇のそれぞれを決定するに当たって考慮した事項の相違の有無
イ 次のⅰ又はⅱに掲げる事項
ⅰ 派遣労働者及び比較対象労働者の待遇の個別具体的な内容
ⅱ 派遣労働者及び比較対象労働者の待遇に関する基準
③派遣元事業主は、派遣労働者及び比較対象労働者の職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、待遇の性質及び待遇を行う目的に照らして適切と認められるものに基づき、待遇の相違の理由を説明することとされました。
(2)協定対象派遣労働者に対する説明の内容
①派遣元事業主は、協定対象派遣労働者の賃金が労働者派遣法第30条の4第1項第2号に掲げる事項であって協定で定めたもの及び同項第3号に関する当該協定の定めによる公正な評価に基づき決定されていることについて説明することとされました。
②派遣元事業主は、協定対象派遣労働者の待遇(賃金、労働者派遣法第40条第2項の教育訓練及び労働者派遣法施行規則第32条の3各号に掲げる福利厚生施設を除く。)が労働者派遣法第30条の4第1項第4号に基づき決定されていること等について、派遣労働者に対する説明の内容に準じて説明することとされました。
(3)派遣労働者に対する説明の方法
派遣元事業主は、派遣労働者が説明の内容を理解することができるよう、資料を活用し、口頭により説明することを基本とすることとされました。
ただし、説明すべき事項を全て記載した派遣労働者が容易に理解できる内容の資料を用いる場合には、当該資料を交付する等の方法でも差し支えないこととされました。
(4)比較対象労働者との間の待遇の相違の内容等に変更があったときの情報提供
派遣元事業主は、派遣労働者から求めがない場合でも、当該派遣労働者に対し、比較対象労働者との間の待遇の相違の内容及び理由並びに労働者派遣法第30条の3から第30条の6までの規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項に変更があったときは、その内容を情報提供することが望ましいこととされました。
3 待遇等に関する情報の保管及び使用
(1)待遇等に関する情報のうち個人情報に該当するものの保管又は使用は、労働者派遣法第30条の2、第30条の3、第30条の4第1項、第30条の5及び第31条の2第4項の規定による待遇の確保等という目的(以下「待遇の確保等の目的」という。)の範囲に限られることとすることとされました。
(2)派遣元事業主は、待遇等に関する情報のうち個人情報に該当しないものの保管又は使用を待遇の確保等の目的の範囲に限定する等適切に対応することとすることとされました。
4 秘密の保持
待遇等に関する情報は、労働者派遣法第24条の4の秘密を守る義務の対象となるものであることとすることとされました。
5 情報の提供
派遣元事業主は、協定を締結しているか否かの別並びに当該協定を締結している場合における協定対象派遣労働者の範囲及び当該協定の有効期間の終期の情報提供に当たっては、常時インターネットの利用により広く関係者、とりわけ派遣労働者に必要な情報を提供することを原則とすることとすることとされました。
6 その他所要の規定の整備を行うこと。
2の指針は、2020(平成32)年4月1日から適用されます。
3 派遣先が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する件
1 派遣先は、その指揮命令の下に労働させている派遣労働者について、派遣就業が適正かつ円滑に行われるようにするため、派遣先が設置及び運営し、その雇用する労働者が通常利用している物品販売所、病院、診療所、浴場、理髪室、保育所、図書館、講堂、娯楽室、運動場、体育館、保養施設等の施設の利用に関する便宜の供与の措置を講ずるように配慮しなければならないこととすることとされました。
2 労働者派遣法第26条第11項の規定による配慮は、労働者派遣契約の締結又は更新の時だけではなく、当該締結又は更新がなされた後にも求められるものであることとすることとされました。
3 その他所要の規定の整備を行うこととされました。
3の指針は、2020(平成32)年4月1日から適用されます。
4 事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等に関する措置等についての指針の一部を改正する件
1 題名
題名を「事業主が講ずべき短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する措置等についての指針」に改めることとされました。
2 待遇の相違の内容及び理由の説明
(1)比較の対象となる通常の労働者
事業主は、職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲等が、短時間・有期雇用労働者の職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲等に最も近いと事業主が判断する通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由について説明するものとすることとされました。
(2)待遇の相違の内容
事業主は、待遇の相違の内容として、次の①及び②に掲げる事項を説明するものとすることとされました。
①通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間の待遇に関する基準の相違の有無
②次のア又はイに掲げる事項
ア 通常の労働者及び短時間・有期雇用労働者の待遇の個別具体的な内容
イ 通常の労働者及び短時間・有期雇用労働者の待遇に関する基準
(3)待遇の相違の理由
事業主は、通常の労働者及び短時間・有期雇用労働者の職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、待遇の性質及び待遇を行う目的に照らして適切と認められるものに基づき、待遇の相違の理由を説明するものとすること。
(4)説明の方法
事業主は、短時間・有期雇用労働者がその内容を理解することができるよう、資料を活用し、口頭により説明することを基本とするものとすること。ただし、説明すべき事項を全て記載した短時間・有期雇用労働者が容易に理解できる内容の資料を用いる場合には、当該資料を交付する等の方法でも差し支えないものとすること。
3 その他所要の規定の整備を行うこととされました。
4の指針は、2020(平成32)年4月1日から適用されます。
ただし、中小事業主については、2021(平成33)年3月31日までの間、2「待遇の相違の内容及び理由の説明」は適用されません。
5 短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針(同一労働同一賃金ガイドライン)
次のような指針(以下、「ガイドライン」という。)が設けられました。
1 目的
ガイドラインは、短時間・有期雇用労働法第8条及び第9条並びに労働者派遣法第30条の3及び第30条の4に定める事項に関し、雇用形態又は就業形態に関わらない公正な待遇を確保し、我が国が目指す同一労働同一賃金の実現に向けて定めるものであること。
2 基本的な考え方
ガイドラインは、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者との間に待遇の相違が存在する場合に、いかなる待遇の相違が不合理と認められるものであり、いかなる待遇の相違が不合理と認められるものでないのか等の原則となる考え方及び具体例を示したものであること。
事業主が3から5までに記載された原則となる考え方等に反した場合、当該待遇の相違が不合理と認められる等の可能性があること。
また、事業主が雇用管理区分を新たに設け、当該雇用管理区分に属する通常の労働者の待遇の水準を他の通常の労働者よりも低く設定した場合又は通常の労働者と短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者との間で職務の内容等を分離した場合であっても、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者との間で不合理な待遇の相違の解消等を行う必要があること。さらに、事業主が通常の労働者と短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者との間で不合理な待遇の相違の解消等を行うに当たっては、基本的に、労使で合意することなく通常の労働者の待遇を引き下げることは、望ましい対応とはいえないことに留意すべきであること。
3 短時間・有期雇用労働者
短時間・有期雇用労働者の待遇に関して、次に掲げる待遇ごとに、通常の労働者と比較した支給等の在り方について、原則となる考え方及び具体例を示すものであること。
(1)基本給
①基本給であって、労働者の能力又は経験に応じて支給するもの
労働者の能力又は経験に応じた部分につき、通常の労働者と能力又は経験が同一であれば同一の、一定の相違があればその相違に応じた基本給を支給しなければならないものとすること。
②基本給であって、労働者の業績又は成果に応じて支給するもの
労働者の業績又は成果に応じた部分につき、通常の労働者と業績又は成果が同一であれば同一の、一定の相違があればその相違に応じた基本給を支給しなければならないものとすること。
③基本給であって、労働者の勤続年数に応じて支給するもの
労働者の勤続年数に応じた部分につき、通常の労働者と勤続年数が同一であれば同一の、一定の相違があればその相違に応じた基本給を支給しなければならないものとすること。
④昇給であって、労働者の勤続による能力の向上に応じて行うもの
労働者の勤続による能力の向上に応じた部分につき、通常の労働者と勤続による能力の向上が同一であれば同一の、一定の相違があればその相違に応じた昇給を行わなければならないものとすること。
(注)
1 通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間に賃金の決定基準・ルールの相違がある場合の取扱い
通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間で賃金に相違がある場合において、その要因として通常の労働者と短時間・有期雇用労働者の賃金の決定基準・ルールの相違があるときは、その相違は、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものの客観的及び具体的な実態に照らして、不合理と認められるものであってはならないものとすること。
2 定年に達した後に継続雇用された有期雇用労働者の取扱い
定年に達した後に継続雇用された有期雇用労働者についても、短時間・有期雇用労働法の適用を受けるものであること。このため、通常の労働者と定年に達した後に継続雇用された有期雇用労働者との間の賃金の相違については、実際に両者の間に職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情の相違がある場合は、その相違に応じた賃金の相違は許容されること。
さらに、有期雇用労働者が定年に達した後に継続雇用された者であることは、通常の労働者と当該有期雇用労働者との間の待遇の相違が不合理であると認められるか否かを判断するに当たり、短時間・有期雇用労働法第8条のその他の事情として考慮される事情に当たりうること。定年に達した後に有期雇用労働者として継続雇用する場合の待遇について、様々な事情が総合的に考慮されて、通常の労働者と当該有期雇用労働者との間の待遇の相違が不合理と認められるか否かが判断されるものと考えられること。したがって、当該有期雇用労働者が定年に達した後に継続雇用された者であることのみをもって、直ちに通常の労働者と当該有期雇用労働者との間の待遇の相違が不合理ではないと認められるものではないこと。
(2)賞与であって、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給するもの
会社の業績等への貢献に応じた部分につき、通常の労働者と会社の業績等への貢献が同一であれば同一の、一定の相違があればその相違に応じた賞与を支給しなければならないものとすること。
(3)手当
①役職手当であって、役職の内容に対して支給するもの
通常の労働者と役職の内容が同一であれば同一の、一定の相違があればその相違に応じた役職手当を支給しなければならないものとすること。
②業務の危険度又は作業環境に応じて支給される特殊作業手当
通常の労働者と業務の危険度又は作業環境が同一であれば、同一の特殊作業手当を支給しなければならないものとすること。
③交替制勤務等の勤務形態に応じて支給される特殊勤務手当
通常の労働者と同一の勤務形態で業務に従事する場合には、同一の特殊勤務手当を支給しなければならないものとすること。
④精皆勤手当
通常の労働者と業務の内容が同一であれば、同一の精皆勤手当を支給しなければならないものとすること。
⑤時間外労働に対して支給される手当
通常の労働者の所定労働時間を越えて、通常の労働者と同一の時間外労働を行った場合には、同一の割増率等で、時間外労働に対して支給される手当を支給しなければならないものとすること。
⑥深夜労働又は休日労働に対して支給される手当
通常の労働者と同一の深夜労働又は休日労働を行った場合には、同一の割増率等で、深夜労働又は休日労働に対して支給される手当を支給しなければならないものとすること。
⑦通勤手当及び出張旅費
通常の労働者と同一の通勤手当及び出張旅費を支給しなければならないものとすること。
⑧労働時間の途中に食事のための休憩時間がある労働者に対する食費の負担補助として支給する食事手当
通常の労働者と同一の食事手当を支給しなければならないものとすること。
⑨単身赴任手当
通常の労働者と同一の支給要件を満たす場合には、同一の単身赴任手当を支給しなければならないものとすること。
⑩特定の地域で働く労働者に対する補償として支給する地域手当
通常の労働者と同一の地域で働く場合には、同一の地域手当を支給しなければならないものとすること。
(4)福利厚生
①福利厚生施設(給食施設、休憩室及び更衣室をいう。)
通常の労働者と同一の事業所で働く場合には、同一の利用を認めなければならないものとすること。
②転勤者用社宅
通常の労働者と同一の支給要件を満たす場合には、同一の利用を認めなければならないものとすること。
③慶弔休暇並びに健康診断に伴う勤務免除及び当該健康診断を勤務時間中に受診する場合の当該受診時間に係る給与の保障(以下「有給の保障」という。)
通常の労働者と同一の慶弔休暇の付与、健康診断に伴う勤務免除及び有給の保障を行わなければならないものとすること。
④病気休職
短時間労働者(有期雇用労働者である場合を除く。)には、通常の労働者と同一の病気休職の取得を認めなければならないものとすること。また、有期雇用労働者にも、労働契約が終了するまでの期間を踏まえて、病気休職の取得を認めなければならないものとすること。
⑤法定外の有給の休暇その他の法定外の休暇(慶弔休暇を除く。)であって、勤続期間に応じて取得を認めているもの
通常の労働者と勤続期間が同一であれば、同一の休暇を付与しなければならないものとすること。なお、期間の定めのある労働契約を更新している場合には、当初の労働契約の開始時から通算して勤続期間を評価することを要すること。
(5)その他
①教育訓練であって、現在の職務の遂行に必要な技能又は知識を習得するために実施するもの
通常の労働者と職務の内容が同一であれば同一の、一定の相違があればその相違に応じた教育訓練を実施しなければならないものとすること。
②安全管理に関する措置及び給付
通常の労働者と同一の業務環境に置かれている場合には、同一の安全管理に関する措置及び給付をしなければならないものとすること。
4 派遣労働者
派遣労働者(協定対象派遣労働者を除く。以下この4において同じ。)の待遇に関して、次に掲げる待遇ごとに、派遣先に雇用される通常の労働者と比較した、派遣元事業主((4)①及び(5)①においては、派遣先を含む。)が行うべき支給等の在り方について、原則となる考え方及び具体例を示すものであること。
(1)基本給
①基本給であって、労働者の能力又は経験に応じて支給するもの
労働者の能力又は経験に応じた部分につき、派遣先に雇用される通常の労働者と能力又は経験が同一であれば同一の、一定の相違があればその相違に応じた基本給を支給しなければならないものとすること。
②基本給であって、労働者の業績又は成果に応じて支給するもの
労働者の業績又は成果に応じた部分につき、派遣先に雇用される通常の労働者と業績又は成果が同一であれば同一の、一定の相違があればその相違に応じた基本給を支給しなければならないものとすること。
③基本給であって、労働者の勤続年数(派遣労働者にあっては、当該派遣先における就業期間。以下この③において同じ。)に応じて支給するもの
労働者の勤続年数に応じた部分につき、派遣先に雇用される通常の労働者と勤続年数が同一であれば同一の、一定の相違があればその相違に応じた基本給を支給しなければならないものとすること。
④昇給について、労働者の勤続(派遣労働者にあっては、当該派遣先における就業の継続。以下この④において同じ。)による能力の向上に応じて行う場合
労働者の勤続による能力の向上に応じた部分につき、派遣先に雇用される通常の労働者と勤続による能力の向上が同一であれば同一の、一定の相違があればその相違に応じて昇給を行わなければならないものとすること。
(注) 派遣先に雇用される通常の労働者と派遣労働者との間に賃金の決定基準・ルールの相違がある場合の取扱い
派遣先に雇用される通常の労働者と派遣労働者との間で賃金に相違がある場合において、その要因として当該通常の労働者と派遣労働者の賃金の決定基準・ルールの相違があるときは、その相違は、当該通常の労働者と派遣労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものの客観的及び具体的な実態に照らして、不合理と認められるものであってはならないものとすること。
(2)賞与であって、会社(派遣労働者にあっては、派遣先。以下この(2)において同じ。)の業績等への労働者の貢献に応じて支給するもの
会社の業績等への貢献に応じた部分につき、派遣先に雇用される通常の労働者と会社の業績等への貢献が同一であれば同一の、一定の相違があればその相違に応じた賞与を支給しなければならないものとすること。
(3)手当
①役職手当であって、役職の内容に対して支給するもの
派遣先に雇用される通常の労働者と役職の内容が同一であれば同一の、一定の相違があればその相違に応じた役職手当を支給しなければならないものとすること。
②業務の危険度又は作業環境に応じて支給される特殊作業手当
派遣先に雇用される通常の労働者と業務の危険度又は作業環境が同一であれば、同一の特殊作業手当を支給しなければならないものとすること。
③交替制勤務等の勤務形態に応じて支給される特殊勤務手当
派遣先に雇用される通常の労働者と同一の勤務形態で業務に従事する場合には、同一の特殊勤務手当を支給しなければならないものとすること。
④精皆勤手当
派遣先に雇用される通常の労働者と業務の内容が同一であれば、同一の精皆勤手当を支給しなければならないものとすること。
⑤時間外労働に対して支給される手当
派遣先に雇用される通常の労働者の所定労働時間を超えて、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の時間外労働を行った場合には、同一の割増率等で、時間外労働に対して支給される手当を支給しなければならないものとすること。
⑥深夜労働又は休日労働に対して支給される手当
派遣先に雇用される通常の労働者と同一の深夜労働又は休日労働を行った場合には、同一の割増率等で、深夜労働又は休日労働に対して支給される手当を支給しなければならないものとすること。
⑦通勤手当及び出張旅費
派遣先に雇用される通常の労働者と同一の通勤手当及び出張旅費を支給しなければならないものとすること。
⑧労働時間の途中に食事のための休憩時間がある労働者に対する食費の負担補助として支給する食事手当
派遣先に雇用される通常の労働者と同一の食事手当を支給しなければならないものとすること。
⑨単身赴任手当
派遣先に雇用される通常の労働者と同一の支給要件を満たす場合には、同一の単身赴任手当を支給しなければならないものとすること。
⑩特定の地域で働く労働者に対する補償として支給する地域手当
派遣先に雇用される通常の労働者と同一の地域で働く場合には、同一の地域手当を支給しなければならないものとすること。
(4)福利厚生
①福利厚生施設(給食施設、休憩室及び更衣室をいう。)
派遣先に雇用される通常の労働者と同一の事業所で働く場合には、同一の利用を認めなければならないものとすること。
②転勤者用社宅
派遣先に雇用される通常の労働者と同一の支給要件を満たす場合には、同一の利用を認めなければならないものとすること。
③慶弔休暇並びに健康診断に伴う勤務免除及び有給の保障
派遣先に雇用される通常の労働者と同一の慶弔休暇の付与、健康診断に伴う勤務免除及び有給の保障を行わなければならないものとすること。
④病気休職
派遣労働者(期間の定めのある労働者派遣に係る派遣労働者である場合を除く。)には、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の病気休職の取得を認めなければならないものとすること。また、期間の定めのある労働者派遣に係る派遣労働者にも、当該派遣先における派遣就業が終了するまでの期間を踏まえて、病気休職の取得を認めなければならないものとすること。
⑤法定外の有給の休暇その他の法定外の休暇(慶弔休暇を除く。)であって、勤続期間(派遣労働者にあっては、当該派遣先における就業期間。以下この⑤において同じ。)に応じて取得を認めているもの
派遣先に雇用される通常の労働者と勤続期間が同一であれば、同一の休暇を付与しなければならない。なお、当該派遣先において期間の定めのある労働者派遣契約を更新している場合には、当初の派遣就業の開始時から通算して就業期間を評価することを要すること。
(5)その他
①教育訓練であって、現在の職務の遂行に必要な技能又は知識を習得するために実施するもの
派遣先は、派遣元事業主からの求めに応じ、派遣先に雇用される通常の労働者と業務の内容が同一であれば同一の実施をする等必要な措置を講じなければならないものとすること。なお、派遣元事業主についても、労働者派遣法第30条の3の規定に基づく義務を免れるものではないこと。
また、派遣先に雇用される通常の労働者と業務の内容に一定の相違があれば、派遣元事業主は、職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情の相違に応じた実施をしなければならないものとすること。
なお、労働者派遣法第30条の2第1項の規定に基づき、派遣元事業主は、派遣労働者に対し、段階的かつ体系的な教育訓練を実施しなければならないものとすること。
②安全管理に関する措置及び給付
派遣先に雇用される通常の労働者と同一の業務環境に置かれている場合には、同一の安全管理に関する措置及び給付をしなければならないものとすること。
なお、派遣先及び派遣元事業主は、労働者派遣法第45条等の規定に基づき、派遣労働者の安全と健康を確保するための義務を履行しなければならないものとすること。
5 協定対象派遣労働者
協定対象派遣労働者の待遇に関して、次に掲げる待遇ごとに、派遣元事業主((2)①及び(3)①においては、派遣先を含む。)が行うべき支給等の在り方について、原則となる考え方及び具体例を示すものであること。
(1)賃金
協定対象派遣労働者の賃金の決定の方法については、同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額として厚生労働省令で定めるものと同等以上の賃金の額となるものでなければならないとされていること。
その賃金の決定の方法は、協定対象派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項の向上があった場合に賃金が改善されるものでなければならないこととされていること。
派遣元事業主は、この方法により賃金を決定するに当たっては、協定対象派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を公正に評価し、その賃金を決定しなければならないこととされていること。
(2)福利厚生
①福利厚生施設(給食施設、休憩室及び更衣室をいう。)
派遣先は、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の事業所で働く場合には、同一の利用を認めなければならないものとすること。
②転勤者用社宅
派遣元事業主の雇用する通常の労働者と同一の支給要件を満たす場合には、同一の利用を認めなければならないものとすること。
③慶弔休暇並びに健康診断に伴う勤務免除及び有給の保障
派遣元事業主の雇用する通常の労働者と同一の慶弔休暇の付与、健康診断に伴う勤務免除及び有給の保障を行わなければならないものとすること。
④病気休職
派遣労働者(有期雇用労働者である場合を除く。)には、派遣元事業主の雇用する通常の労働者と同一の病気休職の取得を認めなければならないものとすること。また、有期雇用労働者である派遣労働者にも、労働契約が終了するまでの期間を踏まえて、病気休職の取得を認めなければならないものとすること。
⑤法定外の有給の休暇その他の法定外の休暇(慶弔休暇を除く。)であって、勤続期間に応じて取得を認めているもの
派遣元事業主の雇用する通常の労働者と勤続期間が同一であれば、同一の休暇の付与をしなければならないものとすること。なお、期間の定めのある労働契約を更新している場合には、当初の労働契約の開始時から通算して就業期間を評価することを要すること。
(3)その他
①教育訓練であって、現在の職務の遂行に必要な技能又は知識を習得するために実施するもの
派遣先は、派遣元事業主からの求めに応じ、派遣先に雇用される通常の労働者と業務の内容が同一であれば同一の実施をする等必要な措置を講じなければならないものとすること。なお、派遣元事業主についても、労働者派遣法第30条の3の規定に基づく義務を免れるものではないこと。
また、派遣元事業主が雇用する通常の労働者と業務の内容に一定の相違があれば、派遣元事業主は、職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情の相違に応じた実施をしなければならないものとすること。
なお、労働者派遣法第30条の2第1項の規定に基づき、派遣元事業主は、協定対象派遣労働者に対し、段階的かつ体系的な教育訓練を実施しなければならないものとすること。
②安全管理に関する措置及び給付
派遣元事業主の雇用する通常の労働者と同一の業務環境に置かれている場合には、同一の安全管理に関する措置及び給付をしなければならないものとすること。
なお、派遣先及び派遣元事業主は、労働者派遣法第45条等の規定に基づき、協定対象派遣労働者の安全と健康を確保するための義務を履行しなければならないものとすること。
5の指針は、2020(平成32)年4月1日から適用されます。
ただし、中小事業主については、短時間・有期雇用労働者に係る規定は、2021(平成33)年4月1日から適用されます。