個別同意のない関連会社への転籍を有効とした判例があります。
「転属先の労働条件等から転属が著しく不利益であったり、同意の後の不利益な事情変更により当初の同意を根拠に転属を命ずることが不当と認められるなど特段の事情のない限り、入社の際の包括的同意を根拠に転属を命じうると解するのが相当である。」 (日立精機事件 千葉地裁昭56.5.25判決)
この事例では、転属先について、募集の際に勤務場所の1つとして定めていました。そして、組合もこれを了承し、長年異議なく運用されてきました。
このように、入社時に包括的合意があった場合は、個別に同意をとることなく、転籍が有効とされることがあります。
転籍の可能性がある場合は、必ず入社時(あるいは契約時)に転籍が有りうることを伝えましょう。ここが後に転籍を実施する際に個別同意を必要とするかどうかの分かれ目となります。
〈社会保険労務士 PSR正会員 新島 哲〉