いわゆる年金機能強化法により、国民年金の任意脱退制度の廃止、老齢基礎年金・老齢厚生年金等の受給資格期間の短縮(原則25年→10年)といった改正が行われ、平成29年8月1日から施行されることに伴い、国民年金法施行令等について、所要の規定の整備を行うこととされました。〔平成29年8月1日施行〕
概要は以下の通りです。
○公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(平成29年政令第214号)
「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律(平成24年法律第62号。以下「年金機能強化法」という。)」により、任意脱退制度の廃止、老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金等)の受給資格期間の短縮〔原則25年→10年〕といった改正が行われ、平成29年8月1日から施行されることに伴い、国民年金法施行令等について、所要の規定の整備を行うこととさました。
1 国民年金法施行令の一部改正
年金機能強化法による改正により、国民年金法第10条が削除され、任意脱退制度が廃止されることに伴い、任意脱退の承認の申請の受理を規定している国民年金法施行令第1条の2第1号の削除等、所要の規定の整備を行うこととされました。
2 国民年金法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令(昭和61年政令第54号)の一部改正
(1)任意脱退制度が廃止されることに伴い、同条第1項の規定の適用に当たり必要な被保険者期間への算入措置について不要となることから、所要の規定の整備を行うこととされました。
(2)年金の受給資格期間を「25年」と規定しているものを「10年」に改正することとされました(遺族基礎年金等を除く。)。
(3)国民年金法等の一部を改正する法律(昭和60年法律第34号。以下「昭和60年改正法」という。)による改正前の国民年金法による通算老齢年金等について、上記と同様の改正を行うこととされました。
(4)遺族基礎年金等の受給資格期間について「老齢年金の受給資格期間を満たしていること」を要件としているものを、「25年以上」とするよう、所要の規定の整備を行うこととされました。
〔解説〕遺族基礎年金等については、保険事故が生じるまでの間の保険料拠出実績を支給要件として一定以上の実績がある場合に給付を保障しているものであり、仮に遺族基礎年金等の受給資格期間を10年とすると、未納期間が殊更に長い者に対しても支給されることとなります。この場合、死亡日の前日までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が3分の2以上あることとしている遺族基礎年金等の支給要件が形骸化することから、きちんと保険料を納付している者との公平性の観点も踏まえ、年金機能強化法において遺族基礎年金等は受給資格期間の短縮の対象とされていません。
したがって、本政令において、受給資格期間の短縮による遺族基礎年金等の受給資格期間について「老齢年金の受給資格期間を満たしていること」を要件としているものを「25年以上」とするよう、所要の規定の整備を行うこととされました。
3 その他
「国民年金法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令(平成6年政令第348号)」、「厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令」、「厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律の施行に伴う移行農林共済年金等に関する経過措置に関する政令」、「国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令」などについて、年金機能強化法による改正に伴う所要の改正を行うこととされました。
〔参考〕同日に、「国民年金法施行規則等の一部を改正する省令(平成29年厚生労働省令第78号)」も公布され、年金機能強化法(平成29年8月1日施行分)に対応した、国民年金法施行規則等の改正が行われました。
この政令は、平成29年8月1日から施行されます。