国民年金法等の一部を改正する法律が成立し、本年6月11日に官報に公布されました。
この法律は、政府管掌年金事業等の運営の改善を図るため、国民年金保険料の納付率の向上に向けた納付猶予制度の対象者の拡大、事務処理誤り等に関する特例保険料の納付等の制度の創設、年金記録の訂正手続の創設等の所要の措置を講ずるもので、平成26年10月1日から段階的に施行されます。 概要を紹介しておきます。
1.年金保険料の納付率の向上方策など
① 国民年金の保険料について、次のような改正を行う。
・納付猶予制度の対象者を、30歳未満の者から50歳未満の者に拡大する。
・大学等の学生納付特例事務法人について、学生から納付猶予の申請の委託を受けた時点から、当該納付猶予を認める。
・現行の後納制度に代わって、過去5年間の保険料を納付することができる制度を創設する。
・保険料の全額免除について、指定民間事業者が被保険者からの申請を受託できる制度を設ける。
② 社会保険及び労働保険の保険料について、滞納した保険料等に係る延滞金の割合を軽減する。
2.事務処理誤り等に関する特例保険料の納付等の制度の創設
事務処理誤り等の事由により、国民年金の保険料の納付の機会を逸失した場合等について、特例保険料の納付等を可能とする制度を創設する。
3.年金記録の訂正手続の創設
年金個人情報(国民年金及び厚生年金保険の原簿記録)について、被保険者等による訂正請求を可能とし、民間有識者の審議に基づき厚生労働大臣が訂正する手続を整備する。
4.年金個人情報の目的外利用・提供の範囲の明確化
年金個人情報の目的外提供ができる場合として、市町村が行う高齢者虐待の事実確認に関する事務等を追加する。
施行期日:平成26年10月1日
ただし、1.②については平成27年1月1日など、順次施行されます。
1.②の延滞金の割合の軽減については、国民年金の保険料のほか、厚生年金保険・健康保険の保険料及び労働保険の保険料の滞納時の延滞金に関する改正です。簡単にいえば、今までの「年14.6%(一定の期間については年7.3%)」という延滞金の割合を軽減する基準(現行の税法における基準と同様)を設けたものです。