短時間労働者に対する社会保険の適用拡大 従業員500人以下の事業所でも適用可能に

公開日:2017年3月10日

  短時間労働者に対する社会保険の適用拡大について、平成29年4月1日から、特定適用事業所以外の適用事業所(従業員数500人以下)においても、労使の合意に基づき、特定適用事業所と同様に、適用拡大の取扱いを受けることが可能となります。そのため、健康保険法施行規則、厚生年金保険法施行規則などに手続きその他の必要な事項が規定されました。〔平成29年4月1日施行〕

 この改正についての概要を紹介させていただきます。

平成29年3月9日 健康保険法施行規則等の一部改正
○健康保険法施行規則等の一部を改正する省令(平成29年厚生労働省令第15号)

<概要>

1.4分の3以上代表者
 公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律(平成28年法律第114号。以下「持続可能性向上法」といいます。)第7条の規定による改正後の公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律(平成24年法律第62号。以下「改正後年金機能強化法」といいます。)附則第17条第2項及び第46条第2項の規定により、特定適用事業所に該当しなくなった適用事業所に使用される短時間労働者は、当該事業所の事業主が、当該事業主の一又は二以上の適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者及び厚生年金保険法第27条に規定する70歳以上の使用される者(以下「4分の3以上同意対象者」といいます。)の4分の3以上で組織する労働組合の同意、4分の3以上同意対象者の4分の3以上を代表する者(以下「4分の3以上代表者」といいます。)の同意又は4分の3以上同意対象者の4分の3以上の同意を得て申出をした場合は、申出が受理された日の翌日に、健康保険及び厚生年金保険の被保険者の資格を喪失することとされています。

この「4分の3以上代表者」の要件について、次のとおり規定されました。
(1) 4分の3以上代表者は、次の①②のいずれにも該当する者とする。
①労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと
②4分の3以上代表者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法により選出された者であること
(2) (1)①に該当する者がいない場合は、4分の3以上代表者は、(1)②に該当する者とする。
(3) 事業主は、4分の3以上代表者であること若しくは4分の3以上代表者になろうとしたこと又は4分の3以上代表者として正当な行為をしたことを理由として、使用する者に対して不利益な取扱いをしないようにしなければならない。

※改正後年金機能強化法附則第17条第8項及び第46条第8項の規定により、改正後年金機能強化法附則第17条第5項及び第46条第5項の申出をした事業所(以下「任意特定適用事業所」という。)に使用される短時間労働者の被保険者資格の喪失に係る「4分の3以上代表者」の要件についても同様です。

2.過半数代表者
 改正後年金機能強化法附則第17条第5項及び第46条第5項の規定により、特定適用事業所以外の適用事業所に使用される短時間労働者は、当該事業所の事業主が、当該事業主の一又は二以上の適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者、70歳以上の使用される者及び短時間労働者(以下「2分の1以上同意対象者」といいます。)の過半数で組織する労働組合の同意、2分の1以上同意対象者の過半数を代表する者(以下「過半数代表者」といいます。)の同意又は2分の1以上同意対象者の2分の1以上の同意を得て申出をした場合は、申出が受理された日に、健康保険及び厚生年金保険の被保険者の資格を取得することとされています。

この「過半数代表者」の要件について、次のとおり規定されました。
(1) 過半数代表者は、次の①②のいずれにも該当する者とする。
①労働基準法第41 条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと
②過半数代表者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法により選出された者であること
(2) (1)①に該当する者がいない場合は、過半数代表者は、(1)②に該当する者とする。
(3) 事業主は、過半数代表者であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として、使用する者に対して不利益な取扱いをしないようにしなければならない。

3.任意特定適用事業所の申出
 改正後年金機能強化法附則第17条第5項及び第46条第5項の申出は、次に掲げる事項を記載した申出書を、改正後年金機能強化法附則第17条第5項及び第46条第5項の同意を得たことを証する書類を添付し、日本年金機構又は健康保険組合に提出しなければならないものとされました。
(1) 事業所(事業主が法人であるときは、本店又は主たる事業所)の名称及び所在地
(2) 事業主が法人であるときは、法人番号

4.任意特定適用事業所の取消しの申出
 改正後年金機能強化法附則第17条第8項及び第46条第8項の申出は、次に掲げる事項を記載した申出書を、改正後年金機能強化法附則第17条第8項及び第46条第8項の同意を得たことを証する書類を添付し、日本年金機構又は健康保険組合に提出しなければならないものとされました。
(1) 事業所(事業主が法人であるときは、本店又は主たる事業所)の名称及び所在地
(2) 事業主が法人であるときは、法人番号

5.70 歳以上の使用される者の要件
 改正後年金機能強化法附則第17条第5項の申出が行われた場合には、当該申出を行った事業所に使用される70歳以上の短時間労働者について、当該申出が受理された日以降は、70歳以上の使用される者の要件に該当するよう所要の規定の整備を行うこととされました。
 また、持続可能性向上法の一部の施行に伴い、平成29年4月1日から、国又は地方公共団体の適用事業所に使用される短時間労働者は、事業所の規模にかかわらず、健康保険及び厚生年金保険の被保険者の資格を取得することから、国又は地方公共団体に使用される70歳以上の短時間労働者についても、同様に70歳以上の使用される者の要件に該当するよう所要の規定の整備を行います。

6.その他
 その他所要の規定の整備を行うこととされました。

この省令は、平成29年4月1日から施行されます。

 

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