間接差別の概念は、男女雇用機会均等法第7条に定められています。 性別以外の事由を要件とする措置であって、他の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益を与えるもの、しかもそれを行う合理的な理由がないときに構ずる措置のことです。つまり、あからさまな性差別ではないけれど、結果的にどちらかの性に不利益を与えることになる行為のうち、合理性がないと考えられる行為のことですね。
具体的には、厚生労働省令において、次の3つが間接差別にあたると例示されています。
- 労働者の募集又は採用に当たって、労働者の身長、体重又は体力を要件とするもの
- コース別雇用管理における総合職の労働者の募集又は採用に当たって、転居を伴う転勤に応じることができることを要件とすること
- 労働者の昇進に当たり、転勤の経験があることを要件とすること
ご相談のケースについて、仮に転勤の可否がコース別人事に反映されているとすれば、広域に支店、支社などが展開されている、これまでも転居を伴う転勤の実体がある、転勤によって経験を積むことが能力の育成確保に必要である、などの合理性が必要になります。また、コース別の人事制度を取っておらず、応募者全員に業務の都合上確認を取っているだけであるならば、間接差別には当たらないと考えられます。
配置・昇進などに当たり、不必要な要件を課して従業員の能力発揮を阻害していないか見直してみましょう。 <社会保険労務士 PSR正会員 福田 和子>