高年齢者雇用確保法違反となりませんか? 確認しておきましょう

公開日:2011年1月27日
 高年齢者雇用確保法において、「高年齢者雇用確保措置」を講ずることが義務化されています。  この制度について、創設以来講じられていたある特例が、平成23年3月をもって終了します。  知らないで放置しておくと、同法違反となる可能性があるので、確認しておきましょう。

【前提】高年齢者雇用確保措置とは 65歳未満の定年の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、次の①~③のいずれかの措置を講じなければなりません。  ①定年の引上げ   ②継続雇用制度の導入   ③定年の定めの廃止 このうち、②の継続雇用制度の導入については、労使協定により対象者の基準を定めることも認められています。 注.上記の「65歳」という部分は、経過措置により、平成25年3月31日までは「64歳」と読み替えられています。


1 継続雇用制度に関する対象の基準に係る特例の終了

高年齢者雇用確保措置のうち「継続雇用制度の導入」については、“希望者全員を対象とする制度”が求められています。 【これまで】 しかし、各企業の実情に応じ、労使の工夫による柔軟な対応が取れるよう、労使協定により対象者の基準を定めることも出来るとされてきました。 さらに、常時雇用する労働者数が300人以下である事業主に限り、事業主が労使協定をするための努力をしたにもかかわらず協議が調わないときには、就業規則等によりこの基準を設けることも可能としています。
【平成23年4月1日以降】 常時雇用する労働者数が300人以下である事業主について、就業規則等により当該基準を設けることを可能とする特例は、平成23年3月31日をもって終了します。 したがって、平成23年4月1日以降は、労使協定が未締結の場合には高年齢者雇用確保法に違反することになります(他の高年齢者雇用確保措置を導入している場合を除く)。

2 特例の終了への対応

継続雇用制度の対象者の基準を就業規則等で定めることによって、高年齢者雇用確保措置に関する義務を果たしている事業主の方は、労使協定*の締結の準備をしてください。労使協定の要件は次のとおりです。
  • 労働者の過半数で組織する労働組合がある場合は、労働組合と労使協定を締結する必要があります。
  • 労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者と労使協定を締結する必要があります。
  • 労働者の過半数を代表する者は、投票、挙手等労働者の過半数がその選任を支持していることが明確になるような民主的な手続きを経て選出された者でなければなりません。 また、労働者を監督又は管理する地位にある者は、代表者として選任できません。

    なお、高年齢者雇用確保法における本来の趣旨は「希望者全員が65歳まで働ける制度の導入」です。 この特例の終了を契機に、継続雇用制度の対象者の基準を廃止する、65歳以上への定年の引上げを行うなど、高年齢者雇用確保措置を抜本的に見直すことも考えてみてはどうでしょうか・・・。 所定の奨励金を活用することができる場合もありますので、是非ご相談ください。

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