<フォレストコンサルティング経営人事フォーラム代表 松井 勇策>
第三章:生成AIがもたらす環境変化と人的資本経営の必要性
<前回までの記事>
第二章:生成AIがもたらす雇用の変化、たとえばダイバーシティ観点
このように、少し考えただけでも生成AIの普及と活用により企業の経営戦略や働き方にも大きな変化がもたらされることは確実であり、また企業において対応していく必要が高いことは明らかだと言えます。
生成AIの浸透に伴い、人間が行う業務はより柔軟性が求められる可能性が高く、労働条件や評価基準の見直しも必要となります。企業は柔軟な働き方を推進し、従業員が新しい技術を活用して働ける環境を整えることが大切です。企業文化の変化や組織風土の改善についても、実践的なアプローチや成功事例を参考にしながら変化に対応する形で取り組む必要があります。
また、生成AIの技術は今後も速いスピードで変化していくと思われ、情報を受け取って浸透させるような経営上の情報の取得や浸透の工夫、企業内での育成や情報共有、マネジメントの工夫、異動やリスキリング含めた組織上の工夫など、経営と人事の全面的に影響が及ぶものだと言えます。そして、このような広範囲な影響をそれぞれ課題化し、経営全体でどのように判断していくか、また組織風土がどのようであるべきかを決定し実現していくことが求められるでしょう。
人的資本経営とは、まさにこうした早い変化のもとでの状況に対応すべく、エンゲージメント、ダイバーシティ、育成、流動性、労働慣行、人事制度等を総合的に考え、事実を収集し、ファクトを分析し、中長期を見据えた人材戦略を立案し、実施し改善し続けることです。生成AIによる一層早くなる変化の中で、人の価値を最大限に発揮させるため、人的資本経営の方法論を知り、実践していく必要性は高まるばかりとなっています。
≫ChatGPTなどの生成AIがもたらす経営と雇用の変化、対応のために必須となる人的資本経営~第一章~
≫ChatGPTなどの生成AIがもたらす経営と雇用の変化、対応のために必須となる人的資本経営~第二章~
プロフィール
社会保険労務士・公認心理師・WEBエンジニア
(人的資本関係の資格)GRIスタンダード修了認証 ISO30414 リードコンサルタント 松井 勇策
フォレストコンサルティング経営人事フォーラム代表 https://forestconsulting1.jpn.org/
情報経営イノベーション専門職大学 客員教授(専門:人的資本経営 雇用実務)
東京都社労士会 先進人事経営検討会議 議長・責任者
早くから人的資本経営の実践・研究に取り組み、社会保険労務士としての実務知見を交え、多くの企業で人的資本経営の導入支援、セミナー等で人的資本経営の実務面にフォーカスした情報発信を精力的に展開。直近では、人的資本経営の基礎知識と実務に特化した初のWEB検定「人的資本経営検定 BASIC」を全面監修している。