中小企業では、「どのように障害者を採用すればよいのか」「自社の業務に合う人材はいるのか」といった疑問や不安を抱えるケースが少なくありません。
本記事では、直近の障害者の求職・就職状況の動向を踏まえつつ、採用計画の立て方や採用ルートの確保など、これなら自社でもできると思える具体的な方法をお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
障害者の求職・就職状況
令和6年のハーローワークを通じた障害者の求職・就職状況を見てみると、新規求職件数では58.8%(約13万8千人)、新規就職件数では57.3%(約6万1千人)が精神障害者(含、発達障害、以下同じ)です。ただ、現場の実感では応募者の約8割が精神障害者ですので、企業は精神障害者の雇用管理ノウハウを蓄積する必要があります。
図表1 新規求職・新規就職件数
出典)令和5年度ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況(2024年6月厚生労働省)より筆者作成
採用計画の立案
障害者雇用のよくある失敗例は、障害者手帳を持っている人を採用して、その人の障害特性に合わせて業務を割り当てるパターンです。
大企業であれば可能かもしれませんが、職種や業務分野に限りのある中小企業では適切な業務の割り当ては難しいのが現状です。障害者雇用でも、担当業務や人材要件などに関する採用計画が必要になります。
(1)企業理念やビジョンとの整合
連載:人材不足時代の障害者雇用は毎月更新いたします。
プロフィール
木下文彦
ラグランジュサポート株式会社(https://lagrange-s.com/) 代表取締役
特定社会保険労務士、中小企業診断士
前職では主に法人営業および営業企画に従事し、人事部では障害者雇用部門の責任者として、採用・定着・教育研修・評価など全社70 名の雇用管理全般を統括した。
独立後は企業に対する障害者雇用コンサルティングを展開し、障害者雇用促進を通じて、障害の有無にかかわらず社員がここで働きたいと思える会社づくりを支援している。