「社会保障審議会年金部会における議論の整理(案)」を提示 いわゆる106万円の壁の撤廃など 次期年金制度改革における方向性を示す

公開日:2024年12月25日

厚生労働省から、令和6年12月24日に開催された「第24回 社会保障審議会年金部会」の資料が公表されました。

年金部会では、令和2年年金改正法以降の議論や、2024(令和6)年財政検証結果を踏まえ、次の課題への対応を大きな2つの柱として、次期年金制度改革に向けた具体的な見直しの方向性について、精力的に議論を重ねてきました。

●平均寿命・健康寿命の延伸や家族構成・ライフスタイルの多様化、女性・高齢者の就業拡大、今後見込まれる最低賃金の上昇・持続的な賃上げという社会経済の変化に対応する観点から取り組むべき課題
●年金制度が有する所得保障機能の強化の観点から取り組むべき課題

今回の年金部会では、これまでの議論のとりまとめが行われ、「社会保障審議会年金部会における議論の整理(案)」が提示されました。これは、次期年金制度改革の具体的内容等について、その方向性を示すもので、特に、次のような項目が注目を集めています。

□ 短時間労働者への被用者保険の適用について、企業規模要件(従業員51人以上)および賃金要件(いわゆる106万円の壁)を撤廃する

〈補足〉被保険者となる方の手取りが減らないよう、その保険料の被保険者負担分の一部を企業の判断で肩代わりできる仕組み(就業調整に対応した保険料負担割合を変更できる特例)を導入することについては、意見が一致せず、今後検討を深める

□ 被用者保険の適用について、常時5人以上を使用する個人事業所の非適用業種を解消する

〈補足〉国民年金の第3号被保険者制度をめぐる論点については、国民的な議論の場が必要であるとの認識を共有した。適用拡大を進めることにより、第3号被保険者制度の縮小・見直しに向けたステップを着実に進めるとともに、第3号被保険者の実態も精緻に分析しながら、引き続き検討する

□ 在職老齢年金を見直す(廃止か、基準額の引き上げかについては引き続き検討)

□ 厚生年金保険の標準報酬月額の上限(現行65万円)の改定のルールを見直して新たな等級を追加する


そのほか、「高齢期より前の遺族厚生年金の見直し等」、「年金制度における子に係る加算等」について、次期年金制度改革における方向性が示されています。

なお、「基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整の早期終了」については、国民にわかりやすく丁寧に説明し、課題についての関係者の理解に努めるとともに、将来の水準確保に向け、経済が好調に推移しない場合に発動されうる備えとしての位置づけの下、さらに検討を深めることとされています。

今後の動向に注目です。詳しくは、こちらをご覧ください。

<第24回 社会保障審議会年金部会/資料>
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20241224.html

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