【専門家コラム】人的資本経営の推進が企業ブランド力の向上に直結する

公開日:2024年5月28日

 

人的資本経営の推進が企業ブランド力の向上に直結する

 


<米澤社労士事務所 代表 米澤裕美/PSR会員>

現代の企業経営では、人材の採用と企業ブランド力の向上は重要な課題となっています。

多くの企業が優秀な人材の獲得に苦労している一方で、人材が集まっている企業も存在します。

この差は何によるものでしょうか?

人材が集まる企業の特徴は、人材採用の課題に対応するためだけでなく、自社のブランド力を高めるためにも、積極的な広報活動を行っています。

特に「人的資本経営」の考え方が注目され、企業の働き方や文化がブランド力の向上に直結しているともいわれます。

これは、優れた人材を引き付けるだけでなく、市場での競争力を高める要因ともなっています。

 

人的資本経営とは

「人的資本経営」とは、従業員を単なる労働力ではなく、企業の重要な資本として捉える経営手法です。

このアプローチでは、従業員の能力開発、働きがい、ワークライフバランスの改善などに注目し、従業員の満足度と企業の生産性の向上を目指します。

企業のミッションやビジョン、バリューを明確にし、それに基づいた働き方を推進することで、企業文化を形成し、ブランド価値を高めることにつながるといわれます。

 

働き方の改革とブランド力

企業がブランド力を高めるためには、働き方の改革は不可欠です。

労働基準法の遵守を前提に、リモートワークの導入や従業員の健康とエンゲージメントの向上に取り組むことで、企業は従業員の多様な働き方を支援し、支援している姿勢を示すことにもつながります。

これらの施策は、従業員が自己の能力を最大限に活かし、成長するための環境を提供することに貢献します。

多様な働き方の推進により、仕事と私生活のバランスを重視し、集中力や創造性の向上を目指すことも重要です。

また、リモートワークを通じて、従業員は新しい技術やコミュニケーション手法を習得し、デジタル化への適応を図る機会を得ることにもつながるでしょう。

 

「公的な表彰」を活用した働き方の改革と企業ブランド強化

公的な表彰を受賞することは、企業の取り組みが社会的に評価されている証拠であり、企業の信頼性と魅力を高める効果があります。

従業員の成長を促し、健康やエンゲージメントに配慮した働き方の改革は、企業の競争力を強化するだけでなく、社会への貢献としても高く評価されます。

このような企業は、外部からの信頼と評価を得やすく、ブランド力の向上に貢献します。

公的な表彰には様々なものがあります。

■テレワーク推進賞

日本テレワーク協会が主催し、テレワークの優れた推進に取り組む企業や団体を対象としています。

■東京都女性活躍推進賞

女性のキャリア支援やワークライフバランスの推進、ダイバーシティの促進など、女性の活躍を支援する取り組みを行う企業や団体、個人を対象としています。

公的な表彰を受けることは、企業が社会的な役割を果たしていることの証明であり、信頼性の向上に繋がります。

これは、社会的責任を重視する消費者や取引関係者にとっても魅力的です。

また、表彰を受けた企業は、メディアや業界での注目を集め、知名度を高める効果が期待できます。自社の取り組みを見直し、これらの賞に応募することは、企業のブランド強化に大いに役立つでしょう。

 

取り組みがもたらす社内外への影響

企業が働き方改革や人的資本経営に取り組むことは、社内外に多大な影響を及ぼします。

社内では、従業員のモチベーションが高まり、生産性の向上につながります。

社外では、企業のポジティブなイメージが広がり、優秀な人材の獲得や顧客の信頼を得ることにもつながります。

SNSなどのデジタルメディアを活用して、これらの取り組みを積極的に発信することで、企業のブランド価値をさらに高めることが可能になります。

 

結論

労働力不足の時代において、企業は製品やサービスの品質だけでなく、働き方や企業文化を通じてブランド力を高める必要があります。

人的資本経営の考え方を取り入れることで、従業員の働きがいと企業の生産性を同時に高め、持続可能な成長と競争力の源泉をもつことができます。

労働環境の整備、従業員の健康やエンゲージメントの向上、効果的な広報戦略の組み合わせは、今や企業のブランド価値を高めるための重要なものとなっています。

働き方の革新と人材に関する広報を戦略的に統合することは、企業にとってますます不可欠な取り組みとなっています。

 

プロフィール

⽶澤裕美(よねざわひろみ)

特定社会保険労務⼠ 

米澤社労士事務所 代表

働き⽅ブランドコンサルタント、ISO30414リードコンサルタント、⼀般社団法⼈⽇本テレワーク協会客員研究員、⼀般財団法人ブランド・マネージャー認定協会ブランド・マネージャー2級。株式会社ビジネス・ブレークスルーや東京理科⼤学オープンキャンパス等でブランド概論受講。人的資本経営やブランディング視点をもつことを強みとしながら複数企業顧問・セミナー登壇・執筆等の活動に力を入れている。現在、「かいけつ!人事労務」にて、オンデマンド配信「働き方ブランディングから始める人的資本経営」オンデマンド配信「インナーブランディングの具体的手法と人的資本経営セミナー」好評発売中。

 

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採用力、競争力のカギは「その企業らしい働き方」

働き方のデザインから社内外の発信のポイントまで解説

現在、様々な価値観に基づいた働き方が求められており、求人の場面でも、多くの求職者が「(この企業に入ると)自分はどんな働き方ができるか?」という点に注目するようになっています。

「その企業らしい働き方」は、採用力、競争力のカギといっても過言ではありません。

「働き方ブランディング」とは、企業が従業員の働き方にフォーカスし、働き方に関する価値やメッセージを明確にして、インナーブランディングとアウターブランディングの両面からオープンに発信していくというもの。

人材を資本として捉え、その価値を最大限に引き出し、企業価値向上につなげていくという「人的資本経営」の手法そのものともいえます。

人材獲得競争に打ち勝つための戦略として、人的資本経営実践のヒントに。企業の経営者、管理部門、人事部門の皆様にぜひご視聴いただきたいセミナーです。

 

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