厚生労働省から、令和6年4月16日に開催された「第14回 社会保障審議会年金部会」の資料が公表されました。
今回の主な議事は、令和6年財政検証についてです。
今回、その基本的枠組みが示されています。
特に、オプション試算(案)の内容が話題になっています。
基本的枠組みとしては、経済の前提として、①成長実現ケース、②長期安定ケース、③現状投影ケース、④1人当たりゼロ成長ケースの4つのケースを設定することなどが示されています。
また、制度改正の検討のためのオプション試算を実施することとし、そのオプション試算の案が示されています。
オプション試算の案では、次のような年金制度改革を行った場合の効果を試算することとされています。
●被用者保険の更なる適用拡大
・被用者保険の適用対象となる、短時間労働者の企業規模要件や個人事業所における非適用業種の適用範囲を見直した場合
・賃金要件や労働時間要件等についても見直しを加え、一定程度働く被用者を全て被用者保険の適用対象とした場合
●基礎年金の拠出期間延長・給付増額
基礎年金の保険料拠出期間を現行の40年(20~60歳)から45年(20~65歳)に延長し、拠出期間が伸びた分に合わせて基礎年金が増額する仕組みとした場合
●マクロ経済スライドの調整期間の一致
基礎年金(1階)と報酬比例部分(2階)に係るマクロ経済スライドの調整期間を一致させた場合
●在職老齢年金制度
就労し、一定以上の賃金を得ている65歳以上の老齢厚生年金受給者を対象に、当該老齢厚生年金の一部または全部の支給を停止する仕組み(在職老齢年金制度)の見直しを行った場合
●標準報酬月額の上限
厚生年金の標準報酬月額の上限(現行65万円)の見直しを行った場合
※上記のほか、マクロ経済スライドによる調整がフルに発動される仕組みとした場合(名目下限措置の撤廃)等についても試算を実施。
試算項目は、いずれも重要な年金制度改革案といえます。
オプション試算を含む財政検証の結果は、今年の夏ごろに示される見込みですが、その結果を受けて、これらの年金制度改正の議論を本格化させる模様です。
今後の動向に注目ですね。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<第14回 社会保障審議会年金部会/資料>
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20240416.html
※次の資料に基本的枠組み、オプション試算(案)が示されています。
資料1 令和6年財政検証の基本的枠組み、オプション試算(案)について
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001245419.pdf