高年齢者雇用安定法では、65歳までの安定した雇用を確保するため、企業に「高年齢者雇用確保措置*」を講じるよう義務付け、毎年6月1日現在の高年齢者の雇用状況を報告することを求めています。厚生労働省は、平成27年6月1日現在の雇用状況報告を提出した「31人以上規模」の企業約15万社の状況をまとめ、公表しました。
*高年齢者雇用確保措置……①定年の定めの廃止、②定年の引上げ、③継続雇用制度の導入、のいずれかの措置のことをいい、事業主は、そのいずれかの措置を講じなければならないこととされています。
――――――――――――― 高年齢者の雇用状況のポイント ――――――――――――
◎ 高年齢者雇用確保措置の実施状況
高年齢者雇用確保措置を「実施済み」の企業の割合は99.2% (対前年差1.1ポイント増加)
・中小企業(従業員31人~300人規模。以下同じ)では99.1%(同1.1ポイント増加)
・大企業(従業員301人以上規模。以下同じ)では99.9%(同0.4ポイント増加)
◎ 希望者全員が65歳以上まで働ける企業の状況
① 希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は72.5%(同1.5ポイント増加)
・中小企業では74.8%(同1.6ポイント増加)
・大企業では52.7%(同0.8ポイント増加)
② 70歳以上まで働ける企業の割合は20.1%(同1.1ポイント増加)
・中小企業では21.0%(同1.2ポイント増加)
・大企業では12.7%(同0.9ポイント増加)
※ 中小企業の取り組みの方が進んでいる。
◎ 定年到達者に占める継続雇用者の割合 過去1年間の60歳定年企業における定年到達者(350,785人)のうち、継続雇用された人は287,938人(82.1%)、継続雇用を希望しない定年退職者は62,102人(17.7%)、継続雇用を希望したが継続雇用されなかった人は745人(0.2%)となっている。
この統計の結果をみる限り、希望すれば65歳以上まで働ける企業が約7割、さらに70歳以上まで働ける企業が約2割となっています。また、約8割の定年到達者が定年後も継続雇用されているとのことです。
今後は、ただ働いてもらうだけではなく、高年齢者の方の能力(知識や経験など)を経営に活かしていくことが重要になりそうです。
そのためにも、企業においては、人件費を抑えつつ、高年齢者の方が能力を発揮できる職場環境を整えていく必要があるでしょう。