労基法に定められた一日の法定労働時間は8時間です。そして、法定労働時間は、下回ることのできない最低基準のため、所定労働時間も8時間を超えることはできません。
所定労働時間 休憩 所定労働時間 時間外労働
9:00 3時間 1時間
初めに書きましたが、労基法上の時間外労働は、あくまでも法定労働時間の8時間を超えた部分であり、就業規則で定めた所定労働時間を超えたことにより発生するものではありません。この法定労働時間(8時間)と所定労働時間(7時間とします)の差(1時間)が法定内残業などと言われるものですが、割増賃金の支払義務はありません。法定内残業については、その時間に対する賃金支払いの問題であり、割増賃金の支払いの問題ではありません。
【例】
所定労働時間7時間(始業時間=9時、終業時間=17時)、休憩=1時間の会社で、20時まで残業した場合 ・総労働時間(10時間)-法定労働時間(8時間)=時間外労働(2時間) 2時間分については、割増賃金(2割5分以上)の支払いが必要となります。
・法定内残業については、割増賃金(2割5分以上)の支払いは不要となります。法定内残業の時間に対する賃金支払いだけでよいことになります。ただし、割増賃金を加算して支払うことは、特に問題はありません。
・法定労働時間の8時間を超えたところからが時間外労働です。 ・所定労働時間が8時間未満の場合、終業時刻が時間外労働の開始時刻にはなりません。
自社の所定労働時間が、法定労働時間と同じなのか短いのか点検してみてください。 〈PSR正会員 川田 陽一〉