労働者を転籍させる際の合意は、個別にとる必要がありますか?

公開日:2008年7月16日
Q.労働者を転籍させる際の合意は、個別にとる必要がありますか?
A.入社時に包括的合意があれば、個別同意がなくても有効となる場合があります。

解説

 個別同意のない関連会社への転籍を有効とした判例があります。

「転属先の労働条件等から転属が著しく不利益であったり、同意の後の不利益な事情変更により当初の同意を根拠に転属を命ずることが不当と認められるなど特段の事情のない限り、入社の際の包括的同意を根拠に転属を命じうると解するのが相当である。」 (日立精機事件 千葉地裁昭56.5.25判決)

 この事例では、転属先について、募集の際に勤務場所の1つとして定めていました。そして、組合もこれを了承し、長年異議なく運用されてきました。
このように、入社時に包括的合意があった場合は、個別に同意をとることなく、転籍が有効とされることがあります。

コンサルタントからのアドバイス

転籍の可能性がある場合は、必ず入社時(あるいは契約時)に転籍が有りうることを伝えましょう。ここが後に転籍を実施する際に個別同意を必要とするかどうかの分かれ目となります。
〈社会保険労務士 PSR正会員 新島 哲〉

「出向・転籍の法律」関連記事

「労務コンプライアンス」に関するおすすめコンテンツ

ピックアップセミナー

東京会場 2024/12/05(木) /13:30~17:30

【会場開催】はじめての給与計算と社会保険の基礎セミナー

講師 : ※各日程をご確認ください

受講者累計5,000人超!2009年から実施している実務解説シリーズの人気セミナーです!
給与計算と社会保険について基礎からの解説と演習を組み合わせることで、初めての方でもすぐに実務に活用できるスキルが習得できます。

DVD・教育ツール

価格
31,900円(税込)

経験豊富な講師陣が、初心者に分かりやすく説明する、2024年版の年末調整のしかた実践セミナーDVDです。
はじめての方も、ベテランの方も、当セミナーで年末調整のポイントを演習を交えながら学習して12月の年末調整の頃には、重要な戦力に!

価格
3,850円(税込)

かいけつ!人事労務では、法改正対応や従業員への周知、教育・啓蒙等に活用できる小冊子を販売しています。

通常は各種10冊1セットの販売となりますが、実際に手に取って中身を見て導入するかどうかを検討したいといったご要望に応え、小冊子を1冊ずつ、計6種類のセット商品をご用意しました。

おすすめコンテンツ

TEST

CLOSE