本人の適性や能力に無関係な採用基準は就職差別になるおそれ(厚労省)
厚生労働省から、厚生労働大臣の会見概要(令和4年5月10日)が公表されましたが、今回の会見で、少し気になる質疑がありました。
その部分を紹介します。
記者:日本郵便の小規模郵便局長の採用試験を巡る問題について、郵便局長で作る「全国郵便局長会」が局長志望者に対して、試験前に配偶者を同席させて面接を受けさせるなど独自の人物選考を行っていることが明らかになりました。選考の通過者に対し、政治活動の重要性などを指導して理解させた上で、採用試験を受けさせており、こうした内容は局長会が作成したマニュアルにも明記されています。慣例として採用試験で局長会が認めた人物しか合格しておらず、思想・信条や家族に関することなど就職差別につながりかねない事柄が採用基準となっており、労働行政を所管する大臣の見解をお聞かせ下さい。
大臣:個別事案については回答を差し控えさせていただきたいと思います。なお、一般論として申し上げるのであれば、厚生労働省では、支持政党や家族に関することなど本人の適性や能力に関係ないことを採用基準とすることは、就職差別につながるおそれがあることの周知・啓発を行っております。いずれにせよ、公正な採用選考の観点から問題が把握できた場合は、適切に対応してまいりたいと思います。
記者:日本郵便は公的なサービスを担う会社で、採用や人事の公平性が強く求められる中で、その社員たちがマニュアルまで作って政治活動を重視した実質的な採用者選考を行っている状況なのですが、厚生労働省として事実関係の確認や調査を行う考えはございますでしょうか。
大臣:先ほど申しあげたように、個別事案について私の方から回答をすることは差し控えさせていただきたいと申し上げたとおりです。そして一般論として申し上げるのであれば、厚生労働省では、支持政党や家族に関することなど本人の適性や能力に関係ないことを採用基準とすることは、就職差別につながるおそれがあると考えておりまして、その旨の周知・啓発を行っているところです。公正な採用選考の観点から問題が把握できた場合には、適切に対応してまいりたいと考えています。
「支持政党や家族に関することなど本人の適性や能力に関係ないことを採用基準とすることは、就職差別につながるおそれがある」ということが、繰り返し述べられています。
これは極端な事例といえるでしょうが、これを機に、厚生労働省の考え方(「公正な採用選考の基本」)を確認しておきましょう。
<後藤大臣会見概要(令和4年5月10日)>
https://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000194708_00442.html
<公正な採用選考の基本(厚労省)>
https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/topics/saiyo/saiyo1.htm