年金関係の手続における情報提供ネットワークシステムを利用した情報連携の開始に向けた準備として、日本年金機構が情報連携を活用した事務を実施するに当たって必要な、国民年金法施行規則、厚生年金保険法施行規則等の関係省令の整備を行うこととされました。〔一部を除き、2019(平成31)年4月15日施行〕
※日本年金機構から、「今後、マイナンバーによる行政機関間の情報連携の仕組みを活用し、これまで各種届出・申請時に必要としていた課税証明書などの添付書類の省略を行う予定としており、平成31年4月15日より日本年金機構から地方公共団体等への情報照会の試行運用を開始しています。」という案内がされています。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<日本年金機構におけるマイナンバーへの対応>
https://www.nenkin.go.jp/mynumber/kikoumynumber/1224.html
概要は以下の通りです。
○国民年金法施行規則等の一部を改正する省令(平成31年厚生労働省令第28号)
1 国民年金法施行規則の一部改正関係
1 加算額対象者がある場合の裁定請求書等の記載事項の追加
老齢基礎年金の裁定請求等の際、加算額対象者がある受給権者は、当該加算額対象者が受給権者によって生計を維持されていることを明らかにすることができる書類を請求書等に添付しなければならないこととされています。
このことについて、情報提供ネットワークシステムを利用した情報連携を活用した事務の開始後は、情報連携により当該事実を確認できる場合には、当該添付書類を省略する取扱いとすることが予定されています。
そのため、情報連携開始後に日本年金機構(以下、「機構」という。)が加算額対象者に係る情報連携を実施することができるよう、裁定請求書等の記載事項に加算額対象者の個人番号を追加することとされました。
2 所得状況届の添付の省略に伴う請求書等の記載事項の追加等
国民年金法第30条の4の規定による障害基礎年金の裁定請求、国民年金法等の一部を改正する法律附則第28条の規定により支給される遺族基礎年金の支給停止解除の申請等の際、受給権者は所得額の確認のため、障害基礎年金所得状況届又は遺族基礎年金所得状況届(以下「所得状況届」という。)を請求書等に添付しなければならないこととされています。
このことについて、情報提供ネットワークシステムを利用した情報連携を活用した事務の開始後は、情報連携により当該所得額を確認できる場合には、当該所得状況届の添付を省略する取扱いとすることが予定されています。
そのため、情報連携開始後は所得状況届及び当該所得状況届に添付しなければならないこととされていた書類は省略されることとなるが、控除対象扶養親族(19歳未満の者に限る。)の有無及び数の証明書等及び障害基礎年金被災状況届又は遺族基礎年金被災状況届の内容については、情報連携により確認できないものであることから、請求書等の添付書類として引き続き提出を求めることができるよう所要の規定の整備を行うこととされました。
3 未支給年金の裁定請求書の記載事項の追加
未支給年金の請求の際は、死亡した受給権者とその遺族(請求者)が生計を同じくしていたことを明らかにすることができる書類を請求書に添付しなければならないこととされています。
このことについて、情報提供ネットワークシステムを利用した情報連携を活用した事務の開始後は、情報連携により当該生計同一関係に係る事実を確認することができる場合には、当該添付書類を省略する取扱いとすることが予定されています。
そのため、情報連携開始後に機構が未支給年金の請求者に係る情報連携を実施することができるよう、未支給年金の請求書の記載事項に請求者の個人番号を追加することとされました。
4 国民年金保険料の免除及び納付猶予の申請書の記載事項の追加
国民年金保険料の免除又は納付猶予の申請の際、申請者やその配偶者等の所得額の確認のため、所得の状況を明らかにすることができる書類を申請書に添付しなければならないこととされています。
このことについて、情報提供ネットワークシステムを利用した情報連携を活用した事務の開始後は、情報連携により当該所得額が確認できる場合には、当該添付書類を省略する取扱いとすることが予定されています。
そのため、情報連携開始後に機構が申請者の配偶者に係る情報連携を実施することができるよう、申請書の記載事項に申請者の配偶者(当該申請者と同一の世帯に属する者であって、厚生労働大臣が機構保存本人確認情報の提供を受けることができる者を除く。)の個人番号を追加することとされました。
5 配偶者状況変更届の新設
国民年金保険料の継続免除又は継続納付猶予の申出を行った者については、機構から市町村(特別区を含む。以下同じ。)に前年の所得額を公用照会し確認できることを前提に、毎年度の継続免除又は継続免除猶予の申請書の提出を要さないこととされています。
このことについて、情報提供ネットワークシステムを利用した情報連携を活用した事務の開始後は、公用照会に代えて、情報連携により当該者及びその配偶者等の所得額を確認する事務に変更することが予定されています。
そのため、情報連携開始後は、従前市町村から提供を受けていた当該者の配偶者の状況を機構が把握する機会がなくなることとなり、機構において新たに把握する必要が生じることから、継続免除又は納付猶予の申出を行った者が、配偶者を有する者又は有しない者となるに至ったときは、当該事実があった日から14日以内に、日本年金機構に届け出なければならない旨の規定を整備することとされました。
6 機構への委託事務の追加
厚生労働大臣から機構へ委託する事務として、国民年金法第109条の10第1項第42号に規定する厚生労働省令に定める事務に、情報連携により特定個人情報の提供を受けることに係る事務を追加することとされました。
7 その他
その他、所要の改正を行うこととされました。
2 厚生年金保険法施行規則の一部改正関係
1 老齢厚生年金の裁定請求書に係る雇用保険被保険者番号の記載及び雇用保険被保険者証の添付の省略
雇用保険法施行規則第10条第1項の規定による雇用保険被保険者証の交付を受けた者は、老齢厚生年金の裁定請求の際、請求書に雇用保険被保険者番号を記載し、雇用保険被保険者証を添付しなければならないこととされている。
このことについて、情報提供ネットワークシステムを利用した情報連携を活用した事務の開始後は、情報連携により当該雇用保険被保険者番号を確認できる場合には、当該雇用保険被保険者番号の記載及び雇用保険被保険者証の添付を省略する取扱いとすることが予定されています。
そのため、情報連携開始後に機構が情報連携により雇用保険被保険者番号を確認できる場合に、当該雇用保険被保険者番号の記載及び雇用保険被保険者証の添付を省略できるよう、必要な規定の整備を行うこととされました。
2 加給年金額の対象者がある場合の裁定請求書等の記載事項の追加
1の1と同じ趣旨により、請求書等の記載事項に加給年金額の対象者の個人番号を追加することとされました。
3 未支給年金の請求書の記載事項への請求者の個人番号の追加
1の3と同じ趣旨により、未支給年金の請求書の記載事項に請求者の個人番号を追加することとされました。
4 機構への委託事務の追加
厚生労働大臣から機構へ委託する事務として、厚生年金保険法第100条の10第1項第39号に規定する厚生労働省令に定める事務に、情報連携により特定個人情報の提供を受けることに係る事務を追加することとされました。
5 その他
その他、所要の改正を行うこととされました。
3 関係省令の一部改正関係等
1及び2に掲げるもののほか、老齢福祉年金支給規則、特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律施行規則等について、1及び2に準じた改正を行うなど、所要の規定の整備を行うこととされました。
この省令は、平成31年4月15日から施行されます。
ただし、1「国民年金法施行規則の一部改正関係」の2「所得状況届の添付の省略に伴う請求書等の記載事項の追加等」、2「厚生年金保険法施行規則の一部改正関係」の1「老齢厚生年金の裁定請求書に係る雇用保険被保険者番号の記載及び雇用保険被保険者証の添付の省略」、3「関係省令の一部改正関係等」の一部の規定については、平成31年7月1日から施行されます。