「とある学校法人が、令和元年(2019年)8月23日、日本私立学校振興・共済事業団(私学共済)へ納付が義務づけられている社会保険料の掛金を過少に算定していたことを発表した」といった報道があり、話題になっています。 過少納付額は累積で10億円を超える可能性があり、教職員らの年金受給額が減るなどの影響もあるということです。 年金や健康保険等の掛金の算定基準となる標準報酬月額には、基本給のほか、家族手当、住宅手当、通勤手当、時間外手当などの支給額がすべて含まれることとなっていますが、同学校法人の発表によると、本来含めるべき支給額の一部である「通勤手当、時間外手当など」をこれまで標準報酬月額の算定基準に含めていなかったということです。 含めていなかったのは、確認できる範囲では平成2年(1990年)まで遡ることができますが、同法人が私学共済に加入した当初から含めていなかった可能性もあるようです。 今年4月の給与システム変更で発覚し、平成15年(2003年)以降、担当者が算定の誤りを管理職に報告していたが、是正されなかったという報道もされています。 これは、私学共済に納付する社会保険料の掛金の話ですが、仕組みは、民間企業が年金機構に納付する社会保険料と同じです。 標準報酬月額の算定を誤っていれば、民間企業においても同様の事態が起こり得ます。 仮に、民間企業において、このような事態が起これば、社会的な信用を失い、過少額が巨額であれば倒産する可能性もありますね。
社会保険料等の計算を含む給与計算も重要な実務といえます。担当者の教育はもちろん、定期的なチェック体制も整えておく必要がありますね。 詳しくは、こちらをご覧ください。
<同学校法人からのお知らせ>
https://www.osaka-sandai.org/wp-content/uploads/2019/08/1b64aebbe7a774bf835d90e665420325.pdf
〔確認〕厚生年金保険の保険料(日本年金機構)
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/hoshu/20150515-01.html