「雇用保険法等の一部を改正する法律」に関して、今回は、「雇用保険の適用の拡大」にスポットを当てて紹介します。
雇用保険の適用の拡大〔雇用保険法、労働保険料徴収法関係〕
改正の趣旨➡
雇用者数、求職者数が増加傾向にある65歳以上の高年齢者について、生涯現役社会の実現の観点から、その雇用が一層推進されるよう、雇用保険の適用を拡大する。
改正前(現行)
○ 65歳以降に雇用された者は雇用保険の適用除外とする。
○ 同一の事業主の適用事業に65歳前から引き続いて雇用されている者のみ、高年齢継続被保険者として雇用保険を適用し、離職して求職活動をする場合に高年齢求職者給付金(賃金の50~80%の最大50日分)を1度だけ支給する。
○ 64歳以上の者については、雇用保険料の徴収を免除。
改正後
平成29年1月~
○ 65歳以降に雇用された者についても、高年齢被保険者として雇用保険を適用し、離職して求職活動する場合には、その都度、高年齢求職者給付金を支給する(支給要件・内容は現行のものと同様。年金と併給可)。
○ さらに、介護休業給付、教育訓練給付等についても、新たに65歳以上の者を対象とする。
平成32年4月~
○ 雇用保険料の徴収免除を廃止して原則どおり徴収する。
現行の制度では、65歳以降に新たに雇用した従業員については、雇用保険の適用除外ですが、来年からは、そのような従業員も、週所定労働時間が20時間未満である場合などを除き、被保険者(高年齢被保険者)となります。雇用保険の資格取得の手続きも必要となります。また、平成32年度からですが、64歳以上の者の雇用保険料の免除の制度も廃止されます。 企業にとっては事務的にも、金銭的にも負担が増えますが、時代の流れですね。
今後は、別途、高齢者を一定割合以上雇用した企業への助成措置等を導入するとのことです。そのような制度の利用などにより、高齢者の方をうまく活用することを考えていくことが、より重要になっていきそうです。