労働政策審議会は、令和5年5月12日、同審議会労働政策基本部会が取りまとめた報告書について審議し、了承しました。
この報告書は、「加速する社会・経済の変化の中での労働政策の課題~生産性と働きがいのある多様な働き方に向けて~」を大テーマとして、令和4年2月より9回にわたり、今後の労働政策の課題について、労働政策基本部会委員・有識者のプレゼンや、企業のヒアリングを交えながら議論を深めてきた成果をとりまとめたものです。
「社会・経済の現状と課題」、「働き方の現状と課題」を整理したうえで、「今後の労働政策の方向性」が示されています。
<今後の労働政策の方向性の要点>
●労働政策において今後検討すべき対応
□多様な人材が能力を発揮できるよう、女性や高齢者などの働き方に中立的な税制・社会保障制度の構築や、雇用によらない働き方など様々な働き方の人を重層的なセーフティネットに組み入れていくことが課題。
□自発的に労働移動を行う労働者の転職の参考となるよう、①労働市場の見える化(職場情報・職業情報)、②異業種間でも業務の親和性がある仕事の事例の積極的周知広報、③ハローワークサービスのデジタル化による、オンラインサービスやキャリアコンサルティング機能の充実など在職者向け支援の強化、等の転職しやすい環境整備(労働市場の基盤整備)を進めていくべき。
□今は労働政策の大きな転換期にあり、従来の「安全・安心」を重視する対応に加え、「労働市場のセーフティネットを整備しつつ、労働者のスキルアップ・向上を目指す」ことを重視していくべき。
●社会全体に求められる対応(一人ひとりが自律的にキャリアについて考える)
□一人ひとりの労働者が自律的にキャリアについて考える方策を社会全体で危機感を持って検討していくことが必要。
□リスキリングについての支援も、労働者一人ひとりが力強く成長できるよう、個人への直接支援が重要。
労働政策基本部会では、この報告の内容を踏まえ、労使において課題の共有がなされ、また、労働政策審議会の関係分科会や部会等においても、速やかに必要な施策が検討されることを求めたいとしています。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<「労働政策審議会労働政策基本部会 報告書」~変化する時代の多様な働き方に向けて~>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33088.html