年が明け、会社から「源泉徴収票」をもらう時期になりました。
源泉徴収票は一見すると数字だらけで複雑そうに見えますが、実は、昨年1年間の私たちの働きぶりや稼ぎ、いくら税金を払っているかがわかる、大切な書類です。
人事担当者の方にとっては、社員のためにも、ご自身のためにも、内容をしっかり理解しておくべき書類ですので、今回は、社員目線で詳しくご説明します。
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まずは基本情報をチェック!
【図1】(出典:国税庁「令和6年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」)
国税庁がホームページで公開しているフォーマットに基づき、ご説明します。
まずは、源泉徴収票の上部にある基本情報を確認しましょう。
この基本情報が、源泉徴収票のなかで一番大切な部分となります。
①「支払を受ける者」の欄に、2025年1月1日現在(2024年に退職した人は退職時点)の自分の名前と住所が正しく記載されているかチェックしてください。
間違いがあれば、訂正する必要があります。
なぜなら、この源泉徴収票と同じ内容が、個人住民税の計算の資料として記載のある市区町村に送られるためです。
すみやかに会社の担当者に連絡し、訂正の依頼をしましょう。
③「支払金額」の欄には、2024年に支払いが確定した給与の総額が記載されています。これは、残業代やボーナスなども含む、1年間に受け取った給与の総額です。
ここが、一般的には「年収」と言われる金額です。その下の④「給与所得控除後の金額」は、収入から、給与所得控除(いわばサラリーマンの経費)を差し引いた後の金額です。
ここが、いわば「もうけ」の部分です。確定申告をする際は、この金額が重要になります。
⑤「所得控除の額の合計額」は、④から、社会保険料や生命保険料の控除、配偶者控除など、個人個人の状況による控除額で、税金をかける対象から差し引いてくれるものの合計額です。
⑥「源泉徴収税額」は、会社が私たちに払った2024年1年間の給与などの収入を足し上げて、1年間トータルの金額で計算しなおした所得税の金額です。この⑥が、2024年の最終的な所得税の納税額になります。
ですので、2024年の毎月のお給料や、賞与から天引きされていた所得税を足し上げた額と比べて、⑥より払いすぎていたら還付、⑥より少なければ徴収になるわけです。
また、④⑤に金額があるのは、その会社に扶養控除申告書を提出している「甲欄」の方で、年末調整をしている方のみです。
副業先の会社や、短期アルバイト、途中で退職して年末調整時点ではその会社にいなかった場合などは、この④⑤の記載がありません。
③支払金額、⑥源泉徴収税額、⑬社会保険料等の金額のみが記載されていることになります。
副業の場合は、下部の㉔の「乙欄」に「◯」が記載される、退職していたら㉕に退職年月日が記載される部分も異なります。
まずは、
③が一般的に「年収」といわれる金額
④が経費を差し引いた「儲け」の金額
⑥が2024年の所得税の納税額
というところを押さえましょう。
【重要ポイント】扶養の壁をチェック!
プロフィール
和久 明 わく社会保険労務士事務所
小規模な専門書出版社で勤務ののち、社員15万人超の運輸業で社会保険手続き・給与計算・年末調整・業務改善・ライフプランセミナー講師を15年以上にわたり経験。
自身が出版社勤務時代、育児休業制度を知らず取得できていないことから、「知らない人に制度を広めたい!」と社会保険労務士を志す。いつも忙しく手が足りない中小企業の、法改正のキャッチアップ&フォロー、社員の働きやすさ実現、業務の見える化支援に取り組んでいる。東京社会保険労務士会会員。
両立支援コーディネーター、ファイナンシャル・プランナー(AFP)。
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