「被用者保険の適用拡大」「年金制度における「年収の壁」への対応」などについて 議論すべき論点を整理(社保審の年金部会)

公開日:2024年11月15日

厚生労働省から、令和6年11月15日開催の「第20回 社会保障審議会年金部会」の資料が公表されました。

今回の議事は、「被用者保険の適用拡大及び第3号被保険者を念頭に置いたいわゆる「年収の壁」への対応について」と「脱退一時金について」です。

提出された資料では、議事となっている各テーマについて、これまでの主な意見や、今後議論すべき論点などが整理されています。

たとえば、被用者保険の適用拡大のうち「短時間労働者に対する適用拡大」に関しては、以下の要件の撤廃について、議論すべきとされています。

●労働時間要件(週の所定労働時間が20時間以上)
・雇用保険の加入対象の拡大に伴い、本要件を引き下げるべきであり、将来的には撤廃を目指すことも必要。
・本要件の引下げについては、被用者であるというのはどういうことか、使用者責任とは何かという観点、医療保険の実務や国民健康保険に及ぼす影響が大きいこと等から慎重な検討が必要。

●賃金要件(賃金が月額8.8万円(年収約106万円相当)以上)
・就業調整できないくらいの水準まで本要件を引き下げるべき。
・最低賃金の上昇や働き方に中立的な制度の構築の観点から本要件を設ける必要性は乏しく、撤廃すべき。

●企業規模要件(従業員50人超)
・雇用形態、勤務先の企業規模や業種によって被用者保険の適用の有無が変わることは不合理であり、本要件を撤廃すべき。
・本要件の撤廃にあたっては、経営に与える影響を踏まえた経過措置や支援策による配慮及び事業主の負担を価格に転嫁することが必要。特に、事務手続の面での合理化等による支援には速やかに取り組む必要。

また、第3号被保険者制度については、「これまで被用者保険の適用拡大を進めてきており、今回の更なる被用者保険の適用拡大や「年収の壁」への対応により、第3号被保険者制度が更に縮小の方向に向かっていくこととなるが、それでもなお残る第3号被保険者についての制度の在り方や今後のステップをどのように考えるか」が論点とされています。

年末に次期年金制度改革の方向性を取りまとめる予定とされており、その動向から目が離せません。

詳しくは、こちらをご覧ください。

<第20回 社会保障審議会年金部会/資料>
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20241115.html

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