業務災害として認められるためには、社員同士のケンカが業務と相当因果関係があるかどうかによって判断されます。例えば、業務上当然に注意すべきことであったため、上司が部下へ教育的指導という観点で注意したところ、部下に殴られてしまったような場合は、業務災害として認められる可能性が高くなります。また、上司が部下の反抗的な態度でカッとなり、殴ってしまった場合も教育的指導という観点であれば、業務災害として認められます。しかし、普段から気に入らない部下だったため、必要以上に殴る蹴るなどの暴行をしてしまった場合は、もはや教育的指導ではなく、単なる個人的な感情における行動であり、私怨と捉えられますので、この場合は業務災害とは認められません。 また、相手の社員を殴っていなくても、挑発してしまった時点で、業務上における災害とは認められなくなる可能性が高くなりますので、発言には注意して下さい。
社員同士のケンカは、基本的には暴力に踏み切った時点で、私怨が介在していると考えられますので、業務中といえでも業務災害として認められません。しかし、業務上必要な教育的指導という観点により暴行をしてしまった場合は、業務災害として認められることがあります。
基本的なことですが、社員同士が取っ組み合いのケンカをしそうになったら、周りの社員は瞬時に両者を引き離して怪我をさせないようにして下さい。怪我さえなければ労災の問題は発生しません。また、人間の性質上、6~8秒程度、間をあければ瞬間的な怒りはおさまり、冷静になるそうですので、引き離しは有効です。また、引き離したら挑発をさせないように両者を違う部屋へ連れて行って下さい。 〈社会保険労務士 PSR正会員 村松 鋭士〉