厚生労働省は、国として初となる職場のパワーハラスメントに関する実態調査*を、委託事業(事業委託先:東京海上日動リスクコンサルティング株式会社)により実施しました。 その報告書が取りまとめられ、公表されましたので、ポイントを紹介したいと思います。 *企業調査と従業員調査からなるアンケート調査で、回答数は、計4,580社、9,000名
調査結果のポイント
● 従業員の悩み、不満、苦情、トラブルなどを受け付けるための相談窓口を設置している企業は全体の73.4%とのことですが、その相談窓口で相談の多いテーマとして、「パワーハラスメント」が、「メンタルヘルスの不調」に次いで多くなっています。 パワーハラスメントが、現代企業の抱える重要な問題であることがうかがえます。 ● 過去3年間にパワーハラスメントに関する相談を1件以上受けたことがある企業は全体の45.2%で、実際にパワーハラスメントに該当する事案のあった企業は全体の32.0%という結果が出ています。 一方、従業員を対象とした調査では、過去3年間にパワーハラスメントを受けたことがあると回答した者は全体の25.3%とのことですが、そのうち46.7%が「何もしなかった」と回答しており、「社内の相談窓口に相談」や「会社が設置している相談窓口に相談」と回答した者は、それぞれ1.8%、1.4%と低くなっています。 パワーハラスメントは、判断や発見することが難しい問題であることがうかがえます。
今回の調査結果から、パワーハラスメントの予防・解決への取組にあたっては、次の3点を意識して進めるべきとされています。 ○ 企業全体の制度整備 ○ 職場環境の改善 ○ 職場におけるパワーハラスメントへの理解促進
☆ この報告書は、「パワーハラスメントの予防・解決のための取組を進め、パワーハラスメントに対する従業員の関心が高まることで、一時的にはパワーハラスメントの相談が増えることも予想されますが、取組を進め、しっかりと相談に対応していくことで、各種取組の効果が現れ、将来的にはパワーハラスメントをなくすことにつながると考えられる」と締めくくられています。 なお、この調査結果等を踏まえ、厚生労働省では、引き続き職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた社会的気運を醸成するための周知・啓発を行うとともに、パワーハラスメントの予防・解決への労使の取組に対する支援等の施策を実施するとのことです。厚生労働省も本腰を入れ始めた問題です。