「嫌いな相手から受けた言動には大げさに反応するくせに、好きな相手の場合は何も言わない。相手によってセクハラになったりならなかったりする。」とよく言われます。しかし実際のトラブルでは、「尊敬していた上司だからこそ許せない」という被害者の言葉を耳にすることは大変多いのです。そういうケースでは、それほどひどいセクハラでなくても、被害者がショックを受けて退職してしまう場合が多いようです。 好きな相手なら何をされても喜び、嫌いな相手なら派手に騒ぐ、というほど人間は単純な生き物ではないようです。
「誰が行ったかによってセクハラになったりならなかったりする」というのは、加害者が言い訳としてよく使う「逃げ言葉」ですね。同じような逃げ言葉として「もし嫌な思いをしたのであれば申し訳ない。」という言い方をする人もいます。個人の感じ方の違いに問題をすり替える言い方です。このような考え方では、真摯な反省は望めません。不適切な言動そのものに視点をあてて考えるような促しが必要です。 <社会保険労務士 PSR正会員 福田 和子>