男女雇用機会均等法第11条において、職場における性的な言動について労働者が不利益を受けたり就業環境を害されることのないよう、事業主が必要な措置を講ずべきことが定められています。その場合の「職場」の範囲はかなり広く捉えられており、仕事場以外にも、出張中の車中や宿泊先、顧客の自宅、懇親会の席上など、仕事に関係する場所については職場とみなして対応すべきこととされています。従って、任意の飲み会であっても、仕事のご縁で同席した間柄ということを考えれば、事業主としての対応が必要です。
被害者、問題となる行為を行った社員、あるいはその時同席した他の社員から状況を聞くなどの適切な調査を行い、事実関係が確認できた場合は就業規則等の規程に沿った対応を取って下さい。
飲み会の二次会におけるセクハラ事件で企業の責任を認めた裁判は・・・
任意の歓迎会の二次会での行為(ソファーに押し倒したり、手の甲にキスをしたり等)に対して行われた裁判 →民法715条の「業務執行性」を認め、行為者と企業の連帯責任として 慰謝料100万円、弁護士費用10万円が認められた (大阪S運送事件 大阪地裁 平成10.12.21判決)
数多くご相談を受けるなかには、確かに「これは恋愛関係のもつれではないのか?」と思われるようなものや、不倫関係のトラブルに関するものもあります。しかし、それらの相談を単純に「プライベートな問題」で片付けてしまうのはリスクマネージメントの観点から大変危険です。職場が上下関係で成り立つ縦社会である以上、恋愛であっても何らかの力関係が働いており、企業責任を問われることも十分考えられるからです。「恋愛とセクハラは紙一重」と言われるのはこのためですね。日頃から社員教育を行うなどして、セクハラの意味や会社の姿勢を周知徹底させておく必要があります。 <社会保険労務士 PSR正会員 福田 和子>