厚生労働省では、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数や、「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数などを、平成14年以降年1回、取りまとめています。
この度、令和4年度「過労死等の労災補償状況」が公表されました(令和5年6月30日公表)。
そのポイントは、次のとおりです。
●過労死等(脳・心臓疾患と精神障害)に関する請求件数など
・請求件数は3,486件(前年度比387件の増加)。
・支給決定件数は904件(前年度比103件の増加)。
うち死亡・自殺(未遂を含む)件数は121件(前年度比15件の減少)。
●脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況
・請求件数は803件で、前年度比50件の増加。
うち死亡件数は前年度比45件増の218件。
・支給決定件数は194件で前年度比22件の増加。
うち死亡件数は前年度比3件減の54件。
・時間外労働時間別(1か月又は2~6か月における1か月平均)の傾向
支給決定件数は、「評価期間1か月」では「100時間以上~120時間未満」25件が最も多い。
また、「評価期間2~6か月における1か月平均」では「60時間以上~80時間未満」45件が最も多い。
●精神障害に関する事案の労災補償状況
・請求件数は2,683件で前年度比337件の増加。
うち未遂を含む自殺の件数は前年度比12件増の183件。
・支給決定件数は710件で前年度比81件の増加。
うち未遂を含む自殺の件数は前年度比12件減の67件。
・時間外労働時間別(1か月平均)の傾向
支給決定件数は「20時間未満」が87件で最も多く、次いで「100時間以上~120時間未満」が45件。
・出来事別の傾向
支給決定件数は、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」147件、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」89件、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」78件の順に多い。
報道では、精神障害に関する事案の支給決定(労災認定)の件数が増加していること(4年連続で過去最高を更新)や、その原因のトップがパワハラであることなどが話題になっています。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<令和4年度「過労死等の労災補償状況」を公表します>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33879.html