ワークハラスメントの多くは、職場環境が悪化する中で発生します。
そのためこのカードには、50種類の「明らかなハラスメント行為」「ハラスメントになりうる可能性がある行為」「ハラスメントを引き起こす原因となる行為」が記載されています。
このカードを使って、それぞれの行為が職場に発生していないか、また発生している原因そして改善策は何か?をグループワークで話し合い、最終的には自社の職場のハラスメント防止策10か条を作成することで、職場全体で職場環境を改善していくことを目指します。
使い方
ワーク時間
90分~3時間(話し合うカードの枚数により時間を調節できます)
用意するもの
ワークハラスメント防止カード(1チームにつき1セット)、模造紙、付箋、ペン
カードの使い方:
①準備
- 「カードを使って職場のハラスメントを防止するための対策を検討します」と参加者に伝えます。
- 「職場で発生(レッド)」「起こりうる(イエロー)」「問題なし(ブルー)」のカードを机に並べます。
②実施:グループごと、または全体で進行します。
- 50枚のカードを1枚ずつ進行役が読み上げます。
- 3枚のカード「職場で発生(レッド)」「起こりうる(イエロー)」「問題なし(ブルー)」のどれに該当するのか話し合って分類していきます。なかなか分類が進まないようでしたら、「職場で発生(レッド)」⇒「大きな問題だ」、「起こりうる(イエロー)」⇒「問題だ」、「問題なし(ブルー)」⇒「身近でその例はない」と読み替えるようお伝えいただいても結構です。
※ポイント※
上司と部下が一緒に参加、あるいはハラスメントの行為者とされる社員が参加する場合「一般論で話し合いましょう」「一般論でいいですよ」と伝えて進めるとよいでしょう。また複数の企業から参加者が集まる集合研修も同様です。
上司に遠慮して発言できなかったり、研修自体が個人攻撃になり得る可能性もあります。参加者を知った上で研修を実施しましょう。
③検討会:「職場で発生(レッド)」、「起こりうる(イエロー)」に分類されたカード群について、対策を考えます。
- 「職場で発生(レッド)」「起こりうる(イエロー)」に分類されたカードを以下の3つに分け、話し合う優先順位を決めます。
1)絶対に話し合うべきテーマ
2)時間があれば話し合うべきテーマ
3)後日に話し合うテーマ
- 「1)絶対に話し合うべきテーマ」に選んだ複数枚のカードを並べて、以下のようにすすめます。
1)模造紙とフセンを用意します。[島形式のグループワーク]
2)「原因は何だと思いますか?」
・フセンに書き出します。[セルフワーク:5分]
⇒1つのフセンに1つの意見を書いてください。
・模造紙にフセンを貼ります。[グループワーク:10分]
⇒同じような意見を小グループにまとめます。それぞれのグループに小見出しをつけます。
・グループ発表[1グループ3分~5分]
3)「改善策を考えましょう」
・フセンに書き出します。[セルフワーク:5分]
⇒1つのフセンに1つの意見を書いてください。
・模造紙にフセンを貼ります。[グループワーク:10分]
(同じような意見を小グループにまとめます。それぞれのグループに小見出しをつけます)
・グループ発表[1グループ3分~5分]
4)職場のハラスメント防止策10か条を作りましょう
・グループで話し合いながら、模造紙に直接ハラスメント防止策を書きます。
「~しない」という表現ではなく「~するとよい」「~しよう」と肯定的な表現に
変換すると、具体的な行動指針となります。可能な限り肯定的な表現にすること
もチャレンジするとよいでしょう。
10か条の一例
・いじめ嫌がらせをしていないか、自分自身点検する
・上司は、部下に対して具体的な業務指導をする
・業務命令は就業時間内に行なう
・就業時間外の業務連絡は、緊急な用件のみに限定する
・怒鳴りそうになったときは深呼吸をして気持ちを落ち着かせよう
・“いじり”や“からかい”は相手が嫌がっていると自覚しよう
・自分から進んで挨拶をしよう。挨拶をされたら笑顔であいさつの言葉を伝えよう
・困難な業務は一人だけに任せずチーム全体で対応しよう
・セクハラだと誤解されないように、社内でも両手つり革、腕組みのイメージを持とう
・妊産婦や子育て中の社員に対して、善意を押しつけず本人の意向を確認しよう
・「これってハラスメントかな?」と感じたら、ためらわず周囲に相談しよう
解説動画
カード監修
福西 綾美 先生
株式会社ソフィアステージ 代表取締役
社会保険労務士、国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー
製薬会社の人事部で人事労務業務に従事。会計事務所勤務を経て、2006年に社会保険労務士事務所を開設。組織風土改善コンサルティングに伴う社内制度の構築と研修事業、ハラスメント防止やメンタル不調予防の労務指導を中心に事業展開。「企業は人なり」という理念のもと、“安心して働ける職場づくり”が必要であることを感じ、企業研修を通じて個人と組織の啓発活動を積極的に行っています。