2024年10月から51人以上の企業で一定のパートタイマー・アルバイトの社会保険加入が義務化に
社会保険加入対象者の判定と会社全体の人件費・社会保険の試算ができるツール
2020年6月5日、「年金制度の機能強化のための国見年金法等の一部を改正する法律」が公布されました。
本法律の趣旨として、「より多くの人がより長く多様な形で働く社会へと変化する中で、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るため、短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大、在職中の年金受給の在り方の見直し、受給開始時期の選択肢の拡大、確定拠出年金の加入要件の見直し等の措置を講ずる」と掲げられています。
段階的な施行により、現在、短時間労働者への社会保険の適用条件は、被保険者数「101人以上」の企業となっていますが、来る2024年10月1日からは、被保険者数「51人以上」の企業に適用されることとなります。
短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大は、企業だけでなく従業員に対しての影響も大きく、今後どの様に対応していくかが重要な課題となっています。
実務対応のポイント
企業規模を表す被保険者数は、以下の①と②の合計人数となります。
①フルタイムの従業員
②週労働時間がフルタイム従業員の4分の3以上の従業員
つまり、現在社会保険対象となっている方の人数で判定します!
入退社が多く、被保険者数が適用条件の人数(現在、被保険者数101人以上、2024年10月からは被保険者数51人以上)を前後している場合には、各月の被保険者数が直近1年のうち、6か月以上で、適用条件人数を上回っている場合には、適用拡大の対象企業となります。
また、一度適用されると、その後適用条件となる人数を下回っても、原則継続して適用の取り扱いとなります。
短時間労働者の適用条件
① 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
② 月額賃金が8.8万円以上
③ 2か月を超える雇用の見込みがある
④ 学生ではない
<参考>厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト
https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/index.html
導入までのステップ
以下の手順で行う必要があります。
- ステップ1
自社が企業規模の条件に該当するのかを確認しましょう。
- ステップ2
自社が条件に該当するとなった場合には、短時間労働者の適用条件に該当する対象者を把握しましょう。
各従業員の労働条件の見直しや会社全体の社会保険料の増加に伴う人件費が経営に与える影響を考慮し、シミュレーションをしておきましょう。
- ステップ3
社内通知と個人面談を実施しましょう。
いつから準備を始める?
遅くとも、半年前からステップ2~3の準備を開始しておくことをお勧めいたします。
例えば、週25時間労働の従業員が社会保険に加入しないために週20時間未満への労働条件変更をした場合、月間約20時間分をどこかで補填する必要があります。
こういった従業員が複数いる場合には、新たに従業員を採用する必要もあり、時間がかかるケースも発生します。
そのため、企業の人事担当者様からは、なるべく効率的に準備を進めるべくこのシミュレーションの簡素化について数多くのご相談をいただいておりました。
そこで、かいけつ!人事労務を運営するブレインコンサルティングオフィスが開発したのが、各従業員の賃金だけでなく企業全体の人件費・保険料を試算する「社会保険適用拡大対応ツール」です。
当ツールは、Excelで作成されているため、使い方も簡単でどなたでもお使いいただけます。
適用拡大ツールの特色
① 個人の賃金の試算
現在の労働条件を元に±10時間の範囲での賃金のシミュレーションが可能です。
個人の労働条件を入力することで、加入対象の可否の判定、手取り額まで試算できるため、従業員への個別面談の際の説明資料にもご活用いただけます。
※適用拡大の目的以外にも、社員の昇給の際の賃金シミュレーションにもご利用可能!
② 会社の人件費・保険料の試算
全従業員の社会保険の等級と各等級の人数を入力いただくことで、会社全体の社会保険料の試算が可能です。
また、社内での法定福利費等の予算把握にもご活用いただけます。
③ 案内文
新たに適用拡大の対象となる従業員の方への周知を行うための文書です。
必要箇所は自社用にカスタマイズして使用可能となっております。
④ 社会保険適用確認フロー
家族の扶養になっている場合、国民健康保険に加入中の場合、ダブルワークをしている場合など、適用拡大の対象となった場合、会社の手続きだけでなく、従業員自身がどのような手続きが必要となるのかケースごとにフローチャートで確認することができます。
従業員への個別面談の際の説明資料にもご活用いただけます。