傷病手当金は、業務外の病気やケガにより仕事ができず(労働不能)、会社を休んだときに、1日当たり標準報酬日額の3分の2相当額が支給されるものです。
支給にあたっては、継続3日間の待期期間が設けられており、これを終えた4日目から支給が開始されます。
社員にとっては、休業中の所得保障となる重要な給付です。
企業としても、手続の際に証明をしてあげることもあり、把握しておきたい給付といえます。
この傷病手当金について、令和4年1月1日施行の健康保険法の改正により、その支給期間が通算化されます。
●改正前の支給期間→支給を始めた日から‘起算して1年6か月が限度’
(この1年6か月の間に、一時的に出勤し、傷病手当金が受けられなかった期間があっても、その期間は延長されない)
●改正後の支給期間→支給を始めた日から‘通算して1年6か月間’
(支給日数を累計した日数が、1年6か月間の日数に達するまで支給)
改正後のこの支給日数はどのように計算するのでしょうか?
厚生労働省は、次のように説明しています。
初回の申請から3日間の待期期間を経て、支給を始める4日目より、暦に従って1年6か月間の計算を行い、傷病手当金の支給期間を確定します。
たとえば、次のケースにおいて傷病手当金の申請がなされた場合、傷病手当金の支給期間と支給満了日は・・・
1)令和4年3月1日~4月10日 労務不能(支給期間:38日間)
2)令和4年4月11日~4月20日 労務不能(支給期間:10日間)
3)令和4年5月11日~6月10日 労務不能(支給期間:31日間)
このケースでは、令和4年3月1日から3日までの3日間の待期期間を経て、令和4年3月4日が傷病手当金の支給開始日となり、支給期間はその1年6ヵ月後の令和5年9月3日までの『549日間』となります。
この『549日間』から、支給された日数を引いていきます。
上記の例では、
1)の支給期間(38日間)後、残りの支給日数は511日
2)の支給期間(10日間)後、残りの支給日数は501日
3)の支給期間(31日間)後、残りの支給日数は470日 となります。
このように計算していって、残りの支給日数が0日となる日が支給満了日となります。
支給開始日に、支給期間の日数を確定させる点がポイントです。
では、施行日(来年1月1日)に、すでに傷病手当金を受給している方の支給期間はどうなるのでしょうか?
これについては、経過措置により、施行日の前日(今年の12月31日)において支給を始めた日から起算して1年6か月を経過していない場合には通算化されることになっています。
その場合、支給開始日にさかのぼって支給期間の日数を計算し、支給済みの日数を引いて、残りの支給日数を求めることになります(その日数が0日になるまで支給)。
☆ 厚生労働省では、この改正に関するQ&Aを作成し、公表しています。ここで紹介した内容を含め、さらに細かな内容まで説明されていますので、必要であればご確認ください。
<傷病手当金及び任意継続被保険者制度の見直し(令和4年1月施行)に関するQ&Aを公表(厚労省)>
≫ https://www.kaiketsu-j.com/index.php/topix/121-iryo/10122-4-1-q-a