年末調整がはじまりました。
チェックのピークは11月が多いかと思います。
年末調整のチェックのなかでも、「住宅借入金等特別控除申告書」のチェックは、気が重いという方も多いのではないでしょうか?
気が重い理由としては、計算が発生することや、金額が高いため誤ったときの影響が大きいこと、よくわからない言葉が多いことがあるでしょう。
家を買うことは、人生の一大イベント。
ふだん給与明細はあまり見ないという従業員の方も、年末調整が行なわれたときの還付の金額は気にするものです。
チェックポイントをしっかりおさえて、最大限、ミスをなくしていきましょう。
1.提出してもらう書類
①給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書 ①と②は税務署から発行されるもので、同じ1枚の用紙の上部が①、下部が②です。 ③住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書 こちらは住宅ローンを組んでいる金融機関から10月頃に送られてくるものです。
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ほか、以下のケースでは、別の書類も必要になる可能性があります。
(1)住宅ローンを借り換えしている場合
「住宅借入金等特別控除証明書」にある「居住開始年月日」と、「年末残高証明書」の銀行借入日の年が1年以上違う場合、住宅ローンを借り換えしていることになります。
一時期は低金利で、銀行が低金利合戦をして借り換えを促していたため、借り換えしている人は多いです。
借り換えしていると、借り換え前の残高も必要になりますので、それがわかる資料が必要です。
そういった場合には、借り換え時の返済計画書などを追加で従業員の方に提出してもらいましょう。
(2)連帯債務の場合
例えば、ご夫婦で住宅ローン(ペアローン)を組む場合、夫婦それぞれが年末調整等で住宅借入金等特別控除を受ける形になります。
したがって、銀行からの「年末残高証明書」も夫婦それぞれの分(2枚)発行され、そこに記載のある金額で手続きができます。
一方で、1本の住宅ローンを共同して返済していく“連帯債務型”の場合は、銀行からの「年末残高証明書」は1枚しか発行されません。
したがって、その残高の何割が、従業員の負担分なのかを確認する必要があります。
令和元年以降に住宅ローンを組んだ場合は、「住宅借入金等特別控除証明書」に連帯債務割合が印字されていますので、そこで割合も含め確認できます。
それ以前の場合、連帯債務者は、①の「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」備考欄に連帯債務者であることの文言や氏名等の記入と押印をすることになっているため、そこで連帯債務とわかります。
もし、そこに連帯債務割合の記載がない場合は、別途確認する必要があります。
住宅ローン控除初年度の確定申告で作成する「(付表2)連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書」等で確認できますので、追加で提出してもらいましょう。
従業員の方が紛失されている場合は、税務署に依頼すれば控えを用意してくれることもありますが、かなりの時間がかかります。
連帯債務割合が不明だと正しい計算ができません。
年末調整のスケジュールに間に合わなそうであれば、ご本人に確定申告していただくことも選択肢のひとつになってきます。
2.計算をする前にチェック
住宅借入金等特別控除の金額計算チェックをする前に、以下の4つのポイントを確認しましょう。
プロフィール
和久 明 わく社会保険労務士事務所
小規模な専門書出版社で勤務ののち、社員15万人超の運輸業で社会保険手続き・給与計算・年末調整・業務改善・ライフプランセミナー講師を15年以上にわたり経験。
自身が出版社勤務時代、育児休業制度を知らず取得できていないことから、「知らない人に制度を広めたい!」と社会保険労務士を志す。いつも忙しく手が足りない中小企業の、法改正のキャッチアップ&フォロー、社員の働きやすさ実現、業務の見える化支援に取り組んでいる。東京社会保険労務士会会員。
両立支援コーディネーター、ファイナンシャル・プランナー(AFP)。
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